クラウド上で出張や経費管理システムを提供するコンカー社(米国)は7月14日、民泊の世界最大手・Airbnbとの連携を発表した。コンカー社の出張予約サービスの「Concur Travel(コンカートラベル)」から直接、Airbnbの宿泊プランを検索・予約が可能になる初の試みとなる。
コンカートラベルでは出張管理の全プロセス(上長承認、却下、社員による出張申請の変更)を網羅するほかホテルやレンタカー会社から送付されるEレシートをコンカーに取り込むことで面倒な経費精算手続を簡素化できる。出張者や企業の経理担当者にとって、スピーディーな経費の精算処理ができ、効率化できるのがメリットだ。
クラウド上の電子データで経費が管理されることから、企業にとって経理業務の可視化にもつながる。データを担当部署間で共有することもできるので、複数のチェック体制が可能で経費処理のミスや錯誤などの減少にも期待される。
Airbnbとコンカーの提携により、コンカートラベルからビジネスホテルだけではなくAirbnbの宿泊プランも検索・予約ができるようになることで、宿泊費用の削減にも一定の効果をあげそうだ。
出張先の宿泊先として利用が急増するAirbnb
最近の傾向として、企業の社員が出張でAirbnbを利用するケースが増えているという。Airbnbによると、2017年に出張でAirbnbから宿泊施設を利用した額は、前年比で33%増(第二四半期=7~9月時点)に上る。230カ国・地域のビジネスマンら25万人以上が、出張でAirbnbを利用しており旅行だけではなく出張でもAirbnbが活用される例が増えてきた。
世界で認知されている観光国・地域は、同時にビジネスにおいても重要なエリアになっていることが多い。国内では東京、大阪、福岡、札幌などが挙げられる。しかし、これらのエリアも、ここ数年の旅行者のインバウンド(訪日外国人)の激増などがあり、慢性的な宿泊施設不足に陥っている。出張時にホテル・旅館の空室がなく、Airbnbなどによる民泊で、出張時の宿泊をカバーするケースも少なくない。
ホテルなどの大規模な宿泊施設は、さまざまな法律・条令の規制がある。新たに建設するには制限が多く、需要を満たすための供給が追いついていないのが実情だ。
それに比べて、Airbnbに代表される民泊施設は、既存の遊休資産を活用できることもあり容易に展開できる機動力がある。世界的なネットワーク網も整備され、今や出張時の“第2の宿泊施設”として、欠かすことができない存在だ。今後、各企業と民泊のクラウドサービスの連携が活性化しそうな気配だ。
《関連サイト》Airbnb Listings Will Be Searchable in Concur Travel