新型コロナウイルスによる感染拡大の影響に伴い日中間の人の往来が急減したことにより、ホテル業界などのインバウンド関連市場などで事業活動が急激に縮小するなどの影響が出ており、雇用維持への悪影響も見込まれる状況にある。
このため厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症に伴う日中間の人の往来の急減により影響を受ける事業主であって、前年度又は直近1年間の中国(人)関係の売上高等が総売上高等の一定割合(10%)以上である事業主について、雇用調整助成金の特例を適用する決定を行った。
雇用調整助成金とは、経済上の理由により業績が低迷した事業主が、従業員に対して一時的に休業、教育訓練又は出向を行い、従業員の雇用の維持を図った場合に、休業手当、賃金等の一部を助成するもの。
雇用調整助成金の特例では、これまで助成対象の休業を行う場合、計画届の事前提出が必要だったが、一部条件付きで休業等計画届の事後提出を可能する。また、販売量、売上高等の事業活動を示す「生産指標」の確認対象期間を3か月から1カ月に短縮。
最近3か月の雇用指標が対前年比で増加している場合でも助成対象とするほか、事業所設置後1カ月未満の事業主についても特例として助成対象に加える。
新型コロナウイルスの影響を受ける事業主については、中国人観光客の宿泊が無くなった旅館・ホテル、中国からのツアーがキャンセルとなった観光バス会社等、中国向けツアーの取扱いができなくなった旅行会社などが対象になる。
助成対象となり、休業を実施した場合の休業手当または教育訓練を実施した場合の賃金相当額、出向を行った場合の出向元事業主の負担額に対する助成(率)は、大企業で 1/2 、中小企業で 2/3 となり、対象従業員1人1日当たり 8,335 円が上限となる(2019 年8月1日現在)。
また、教育訓練を実施したときの加算額は、対象従業員1人1日当たり 1,200 円。支給限度日数は、1 年間で 100 日( 3 年間で 150 日)となる。