オンライン旅行サイト世界最大手の Expedia Group(エクスペディア・グループ)は、新型コロナウイルス感染症により打撃を受けているホテル、民泊の所有者や運営会社向けに約 300 億円(2 億 7500 万ドル)の支援を用意していることを明らかにした。
2020 年 3 月にはAirbnb(エアービーアンドビー)が民泊ホスト向けに約 280 億円(2 億 6 千万ドル)のホスト救済基金を設立するなどし支援を表明したが、オンライン旅行サイト大手のエクスペディアグループも観光業界の本格的な復活を後押しする支援に乗り出した。
Airbnb は、民泊ホストに 2 億 5 千万ドル、スーパーホストに 1 千万ドルの補助金を提供しているのに対し、エクスペディアの支援プログラムは直接的な資金援助ではなく、同社プラットフォーム上で利用可能やマーケティングクレジットや手数料の削減、支払期間の延長などの経済的救済策が主となる。
この支援プログラムでは、エクスペディアは 2019 年に各物件から得た報酬の 25% を受け取るが、支援プログラムへの参加する場合は、その分をマーケティングクレジットに変換する。また、パートナーからのコミッションを 3 カ月間 10% 引き下げ、現地決済(ホテルコネクト)による支払いはゲスト滞在日から最大 90 日間後まで延長する。
支援プログラムには参加資格があり、民泊、バケーションレンタルの管理者や所有者の場合は、バケーションレンタル大手の Vrbo(旧 HomeAway)だけではなく、Expedia Partner Centralと契約している必要がある。対象は約 76 万 5000 件で、全体の約 36% にあたる。
支援総額は約 300 億円(2 億 7500 万ドル)と発表されているが、最終的な数字はプログラムに参加するホテルや民泊などのパートナーの数によって変動するという。
ホテルにも魅力的な宿泊パックや価格が求められる
エクスペディア トラベルパートナーグループのシリル・ランク氏によれば、パートナーは市場が回復した際に旅行者を獲得したり、そのためのリソースを安価に入手できるとを求めており、これらのニーズに対してはマーケティングクレジットや経済援助の提供が最善策だという。
支援プログラムの対象は主に小規模宿泊事業者で、プログラム参加のホテルや民泊などの宿泊施設はホリデーパッケージや会員限定のお得なプランなどの競争力のある価格を求められる。
Vrbo のみの契約物件は支援プログラムから除外されるため、参加できる民泊やバケーションレンタルは全体の3分の1にとどまる。よって、個人所有の民泊物件よりも、相当数の物件リストを持つ不動産管理者や所有者に偏る可能性もあるが、支援の焦点は大手ホテルチェーンではなく、あくまでも小規模チェーンや独立した宿泊施設のようだ。
現在は、アジアの数カ国で試験的に導入されている。プログラムの実施時期について、各国政府の規制や市場の状況に応じたツーリズムの再開時期により、「早すぎても遅すぎてもだめ」(ランク氏)で、タイミングを見計らって効果的に実施していくと述べた。