Google、ホテル検索など旅行分野での躍進が巨大OTAの株価を直撃 TripAdvisor 株価 20%超の急落後も低迷続く

米検索エンジン大手のGoogle(グーグル)が、フライト検索やホテル検索など旅行分野での躍進を続ける中、オンライン旅行予約サイトの株価の低迷が続いている。

TripAdvisor Inc.(トリップアドバイザー)が11 月に発表した、2019年 7 ~ 9 月期決算で売上高と利益が市場予想を下回ったことを受け、11 月7日の米株式市場でオンライン旅行サイトのTripAdvisor の株価が急落。株価の低迷が現在まで続いている。

TripAdvisor の主軸となるHotel Media & Platform(ホテルメディア&プラットフォーム)部門の第3四半期の収益は、前年同期比 12% 減という結果を公表。これを受け、TripAdvisor 株(TRIP)の株価は、過去2年間で最大の 22.41% の下落となった。

TripAdvisor と時を同じくして、決算発表も行った Expedia(エクスペディア)の 7 ~ 9 月期の売上高は前年同期比9%増の 35 億 5800 万ドル、純利益は 22%減の4億 900 万ドルとなり、Expedia 株も同日の取引で27.39%急落。現在も株価の低迷が続いている。

オンライン旅行サイトのBooking.com を傘下に持つ Booking Holding(ブッキングホールディングス)の株価も約8%下落するなど株価を直撃する影響が出ている。

名立たる巨大OTA(オンライン・トラベル・エージェント)の株価が急落した背景には、昨今ホテル分野でサービスを強化し続けている Google(グーグル)の躍進が大いに影響している。

 

Google ホテル広告の強化で オーガニック流入が減少か

Google は2019年3月に、宿泊施設の検索に特化した Google ホテル検索を大幅にアップデートし、オンライン予約サイトを彷彿させるUIでホテルを探せるようにしたほか、またホテルに加えてフライト検索もシームレスに利用できるようにした。

Google は、昨今利用者が急増している民泊、バケーションレンタルも Google ホテル検索から利用できるようにしたほか、昨今市場を急拡大する OYO Hotel や Marriott などホテルブランドによる絞り込み検索にも対応するなど、サービス強化に余念がない。

さらに、Google は広告料を支払ったOTAやホテルを上位に表示させる Google  ホテル広告のサービスを強化。予約が完了したとき、または広告がクリックされたときに広告料が発生する仕組みを利用することで、Google 検索、Google マップ、Google ホテル検索など様々な場所に上位表示できるようになっている。

米投資銀行パイパー・ジャフレーのマイケル・オルソン氏は、ホテル業界での Google の躍進について「OTAにとってこれらは中長期的な課題」だとし、「最も憂慮すべき傾向は、Googleが“無料”リンクをページの下方に押し出すことで、SEO マーケティングの効率が下がっていること」だと述べている。

TripAdvisor のスティーブン・カウファー最高経営責任者は 11 月7日の決算説明会で「Google が何をやろうとしているのかを正確に知ることは難しい。我々のページはどれだけ下に置かれてのかと思う」と述べた。

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