ヒルトン、ロイヤルティ・ポイント約1,080億円相当をアメックスに事前販売 新型コロナ危機対策の資金調達で

世界でホテルチェーンを展開するヒルトン・ワールドワイド・ホールディングズ(Hilton Worldwide Holdings Inc.)が、新型コロナウイルス感染拡大による危機を乗り切るため、ロイヤルティポイントの販売や債券の発行を通して資金調達していることが SEC Filing で明らかになった。

同社は 2020 年 4 月にすでにホテル特典プログラムの「ヒルトン・オナーズ」のポイント約 1,080 億円(10億ドル)分をアメリカン・エキスプレスに事前販売した。調達した資金は運転資金や企業活動全般に活用するという。

アメックスはウェブサイト上の別の声明で、ポイントの買い上げは両社間の既存の契約の一部であり、同社の資本および流動性計画の中ですでに検討されていたものだと述べている。ヒルトンはアメックスにとって最大の共同ブランドパートナーの 1 社で、同社カードがヒルトングループ内における支出の約 2%、ローンの 5% を占めているという。

新型コロナウイルス感染症の影響による各国政府によるロックダウンや入国拒否などの措置により、他のホテルブランドと同様に、ヒルトンもその影響を世界的に受けている。同社によるとグループの約 16 %に相当する約 1 千軒のホテルで営業を停止しており、同社の暫定的な予測によると、利用可能な客室1室当たりの収益(RevPAR)は3月に 58% 減少したという。

ヒルトンは、感染症拡大の余波に対処するためにいち早く与信枠を利用した企業の 1 つで、約 1 カ月前に約 1,900 億円(17 億 5000 万ドル)の融資を引き出した。以来、アメリカでは 450 社近くの企業が既存の与信枠から資金を引き出すなどして、約 32 兆円(3000億ドル)近くを調達している。

その一方、ヒルトンは新型コロナウイルスと闘う医師や看護婦、救急救命士などの医療従事者に対する支援も実施しており、米決済大手アメリカン・エキスプレスと共同で 4 月中旬から 5 月末まで、米国内のヒルトングループのホテル 100 万客室を無償提供している。



.