【楽天LIFULL STAY 独占インタビュー】「独占ではなく協業して市場全体を盛り上げる」

各方面で話題の事欠かない楽天グループだが、なんと民泊業界に進出することを6月に発表した。業界ではすでにこの話題で持ちきり状態だが、畳み掛けるように今月4日にはエクスペディアグループのHomeAwayと業務提携を発表。民泊新法施行の前に大きな注目を集める形となった。

今回のロングインタビューでは楽天LIFULL STAY株式会社 代表取締役社長の太田宗克氏に、会社が進むべき道だけでなく業界全体の将来について詳しく語っていただいた。

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●まずは、そもそもなぜLIFULLと新会社を設立することになったのですか

民泊サービスを展開する上で大切なことの一つは「いかに物件を創出していくか」だと考えています。楽天には残念ながら不動産業界に関する知見が十分にはないので、業界知見のあるLIFULLさんと一緒になることで非常に効率的に物件の創出ができるのではないかと考えました。

LIFULLさんのサービス「HOME’s」には2.2万の不動産会社から800万を超える物件の掲載がされています。

一方で楽天は、約9,000万人にのぼる楽天会員数有しており、強固な顧客基盤があります。つまり我々の強みは「お客様に対しての告知のしやすさ」だと考えています。

不動産会社にはLIFULLから、お客様には楽天からリーチするという流れがもっとも理想的な形であると考えました。結果、民泊に特化した新会社を立ち上げる上で、LIFULLさんと手を組むことがベストと考え、今回の設立に至りました。

 

縄張りや壁は取っ払って、みんなで大きな”畑”を作ることが重要です。

我々は既存の民泊関連企業とは、”競合”するのではなく”協業”していきたいと考えています。民泊業界はこれから始まる業界です。まずはみんなで協力して民泊の”畑”を耕して、大きくしていく。その後にみんなで収穫していきたいと考えています。ライバル企業と食いあったりとか、現在はそういうステージではないと思います。

つまり、この業界に携わる事業者がこのマーケットで出会い、切磋琢磨し、結果的に宿泊事業や観光産業が更に発展していくことが最も好ましいと考えています。その第一歩として、今回HomeAwayさんとパートナーシップを組むことになりました。

 

●ではHomeAwayが”独占”パートナーシップではないんですね

HomeAwayさんは、とても強力で特別なパートナーです。ただ、独占というわけではありません。そもそも我々は民泊業界を独占しようという発想ではないんです。

例えば、今のOTA(Online Travel Agency)は2兆円の市場規模ですが、現在はホテルと旅館をメインにしたマーケットです。その市場を我々の活動を通じて4兆円、5兆円規模に成長させて、市場全体を盛り上げていくべきという発想でやっています。

そのためには変な縄張りとか無駄な壁とかは全部取っ払っちゃうべきと考えています。我々はこれからもたくさんのプレイヤーと関わっていって、その人達と一緒に恩恵をシェアできればいいなって思います。

もちろんそれはサービスを使ってくれるユーザーも含めてです。みんながハッピーになれる絵を描ければいいと思いますね。独占することになんの意味もない。

今の民泊業界で「独占」という言葉になんの意味もないと思っています。小さなマーケットを小さな企業が独占して誰が幸せなのっていう話です。

マーケットが発展する上で「独占」なんかしても何にもいいことはありません。

我々が目指すべきはは産業全体の発展であって、そこを目指して活動していくこと。それがみんなでハッピーになる道だと思います。

新しく生まれるマーケットっていうのは、そのパイを広げていくことが重要なんです。なので我々の方針は一貫して「オープン戦略」です。可能な限り多くの人と関わって協業しながらマーケットを大きくしていこうと考えています。

最終的に我々は「ワンストップ型」を目指します。

●では今後もHomeAway以外ともパートナーシップを?

もちろん、可能性は大いにあります。たくさんの企業とお話しさせていただいています。

最終的には「ワンストップ型」を目指しています。
現在は複数のサービスにアカウント登録をして、入金管理をして、っていう煩雑な管理をしないといけない。それを登録してもらうだけで全て利用できますよっていうサービスを提供したいと思っています。

例えば課金方式なんて特にややこしい。「このサービスはいつ支払いで〜」「あのお金はいつ受け取りで〜」っていう管理が本当に手間です。それをまとめてやりましょう、めんどくさい計算も全部やります、という話です。

そうすることで、まずはお客様が単純に快適ですよね。そして関わった企業の方々に、イーブン条件で分配していくこと。そうすることで色々な企業がそこに参加しようと思うし、サービスの幅が広がればお客様はやってみたいと思う。そういう仕組みを構築することが重要だと思うんです。

 

●ではホテルも”競合”とは考えていない

全く考えてないです。民泊はホテルと競合するべきじゃなくって、お客様に対して選択肢を増やしていくことにフォーカスするべきです。そういう流れを我々は作りたいと考えています。

我々の活動を通じてホテルへの送客が増え、最終的なお客様の「総数」が増えていったらいいですね。

 

●既存の民泊代行業者ともパートナーシップを組んでいくということですね

もちろんです。

 

●範囲は日本全国で

はい。
ただ、段階的にはなるとは思いますし、展開しない地域も出てくるかと思います。
お客様とマーケットの動向に合わせて決まっていくものだと思います。

 

楽天LIFULL STAY株式会社

楽天株式会社と株式会社 LIFULLが共同出資する形で設立。6月の住宅宿泊事業法民泊新法の成立を受けて、民泊施設を提供したい人と利用したい人をインターネットを通じて結び付ける、新たなプラットフォームの構築を目指す。LIFULL HOME’Sの約800万掲載物件などから、民泊物件を開拓していくほか、不動産業者や民泊代行業者との協業スキームの構築や推進を行っていく。また、各自治体が運営する空き家、空き地バンクの情報を集約する情報プラットフォームである「LIFULL HOME’S空き家バンク」と連携し、地方空き家の民泊活用も狙う。



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