プライスライングループ傘下のメタサーチサイト「KAYAK」は7月、日本で本格的に事業展開することを発表した。KAYAKは数年前に日本法人を設立し2014年から日本語版のサイトを運営していたが、これまでは日本における事業に注力してきたわけではなかった。
しかし昨年からユーザー数が大幅に伸ばし、日本語サイトが急成長。2017年のユーザー数はアジア市場でも1位、2位を争うまでに成長した。それを受けてKAYAKでは、日本市場の専任担当者「日本カントリーマネージャー」として、ホテルズドットコムジャパンのマーケティングマネージャーなどを務めた山下雅弘氏を抜擢した。
日本ではまだまだ小規模だが、今後は情報発信を積極的に行うことで認知度を高め、マーケティングにも本腰を入れて取り組み、国内OTAや日系航空会社などの提携企業を増やしていく方針だ。
KAYAKが提供するメタサーチとは、OTAや航空会社などのウェブサイトを一括検索できるのが強みで、現在40カ国20言語で利用が可能だ。日本では航空券とホテルを組み合わせたパッケージツアーも販売し、楽天トラベルやHISなど旅行会社各社とも提携する。さらに、日本航空や全日空に加え、格安航空会社のピーチ・アビエーションとも連携して事業展開していく方針だ。
日本人出国者数が伸び悩むことさえも想定内か
主なターゲットは海外旅行に行く日本人旅行者だが、もし日本人の出国者数が伸び悩んだとしても、モバイルアプリの利用者数は増加するとKAYAKは見込んでいる。優秀なモバイルアプリはKAYAKにとって強みであり、成長を確信しているという自信も垣間見せた。
モバイルアプリの利用者の中心は、20代後半から40代前半までのスマートフォンを頻繁に利用する世代だ。米国ではモバイル経由の利用者が43%だが、日本ではさらに高い比率だという。
日本語サイトは、日本人がより使いやすいようレイアウトを微調整するなどしてユーザビリティの向上を計っている。おすすめのホテルや鉄道比較情報にもアクセスできるようにする。
山下氏は、単なる価格比較サイトに留まらず、ホテルや航空券、バスなどの予約を一元管理できる「Trips」やKAYAK経由以外の予約についてもデータを取り込んで管理できるツールを提供。任意の空港から世界各国の空港へのチケット代を一括して表示できる「Explore」も提供している。
また、KAYAKのサイト上で直接確認や予約ができる「インスタントブッキング」を利用している企業もある。さらに、国際航空運送協会(IATA)が提案する航空会社向けの新たな流通規格「NDC(New Distribution Capability)」についても対応する予定である。
KAYAKでは、プライスライングループ以外の企業も同じように扱っているが、「他社やユーザーからの信頼感が重要」という姿勢を貫く方針だ。