今年は過去最多の137人を受け入れを行っているなど、北海道木古内町で行っている小学生向けの民泊が好評を博していると函館新聞が報じた。木古内町では体験観光(体験教育旅行)プログラムが充実しており、その宿泊先として民泊が利用されている。
木古内町では2008年から体験型観光の取り組みを開始。現在は漁業体験(地引網、ホタテ貝養殖他)、調理体験(ジンギスカン・チャンチャン焼き他)、地域体験(オリエンテーリング、山菜採り他)、歴史・文化体験(砂金掘り、遺跡発掘他)、産業体験(時計づくり他)の20以上のプログラムを用意するまでに至っている。
日帰りでの体験も可能であるが、宿泊型のコースも用意。宿泊先については町内の寺院での宿泊コースもあるが、町内の家庭での宿泊=民泊を選ぶケースが殆どだ。宿泊先では、児童とホストファミリーが一緒に食事を作る等でホームステイする形となり、地元住民との交流を深めている。
これまで北海道内外より累計で50校・9団体の約5,500名が体験観光に参加しており、木古内町では全国屈指の体験観光及び民泊提供の地となっていた。
民泊受け入れ先の高齢化が課題として浮上
好評を博している木古内町の体験観光及び民泊であるが、児童を受け入れる家庭の高齢化が課題として浮上。木古内町も他町村同様、高齢化に加え人口減少に見舞われている。2007年3月末の人口は5,829人であったが、2017年3月末では4,350人と10年で人口は約25%減少している。
高齢化と人口減少のダブルパンチで、体験観光及び民泊は人気を博するも、児童を受け入れる家庭の絶対数には限りがあるのが現実である。現状、課題はありながらも民泊の受け入れは行われているが、今後人口減少が更に進めば、民泊の維持が難しくなる可能性もある。
山村留学、という形で児童が夏休みに地方の農村家庭にホームステイするイベントは古くから存在している。木古内町のケースは体験観光と民泊をセットで提供することで、山村留学が形を変えて人気化しているケースと言えそうだ。
高齢化と人口減少と言う日本社会全体が抱える問題が、木古内町の民泊でも生じている形である。しかし都会の子供たちが様々な体験を通じ心の成長を得られる重要な機会を提供し、また参加者や保護者の評価も高いため、今後も地域住民の助けを得ながらの事業継続を期待したい。