観光庁が民泊の情報共有化 国税庁や消防庁と連携して悪質業者を排除へ

観光庁は2017年6月をめどに施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)に合わせ、民泊事業者の情報を登録するシステムを構築すると10月4日付の日本経済新聞電子版が伝えた。民泊新法の施行によって脱税や消防設備の基準を満たさないなどの悪質業者の排除を狙う。

住宅を旅行者に貸し出せるようにする民泊新法では、民泊事業の主要プレイヤーとなる民泊ホストや民泊運営代行会社、Airbnb(エアビーアンドビー)・HomeAway(ホームアウェイ)などの民泊仲介事業者に対して届出制度や登録制度を設けることで適切な規制体系を築くことを目的とする。

従来は旅館業法や特区民泊でしか民泊の営業はできなかったが民泊新法の施行後、民泊ホストは宿泊施設の称号や名称、氏名などの情報を記載した届出書の提出を行うことで住宅宿泊事業の営業ができるようになる。

民泊新法施行後は、従来の旅館業法や特区民泊に加えて民泊新法のいずれかで営業が可能になるが、民泊新法では年間の営業日数は最大で180日が上限だ。新法民泊で想定される課題としては、年間上限日数の180日を超えた違法営業だ。民泊新法では悪質な業者が日数上限を超えて部屋を貸し出していないかどうかをチェックする方針だ。

 

国税庁や消防庁と連携して悪質業者を排除

2018年3月から民泊の事業者登録を開始するが、観光庁は届出で得られた情報を国税庁や消防庁など他省庁や自治体とも共有を行う。もともと民泊は個人間の取引である(CtoCサービス)ため税務当局が所得を把握するのが非常に困難だったが、新法施行後は国税庁と連携し宿泊日数に対して客室単価をかけて売上高を想定し、課税逃れができないような仕組み作りも行う。

また新法民泊では施設に消防法上の設備の設置も必要になるが、情報の共有化によって必要な設備が設置されているかの調査に活用できるほか、自治体との情報共有により、自治体ごとに異なる営業日数を超えていないかの確認にも活用ができるようになる。

民泊市場のデータ提供を行うメトロエンジン株式会社のメトロデータによると2017年8月時点の日本国内のホスト数は25,000人で日本全国で50,000件の民泊物件が掲載されており、物件数の伸び率は2016年のピーク時よりは鈍化したものの引き続き右肩上がりだ。

2018年6月の民泊新法施行後は、民泊の合法化がカギとなるが大手企業を中心に民泊市場に参入する動きが加速しており来年以降の民泊市場はCtoCからBtoCに移行するとともに市場はさらに拡大するとみられる。



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