京都市の8組合の個人タクシーの代表者らが7月4日、門川大作・京都市長へ民泊施設への看板設置に関する要望書を提出したことを毎日新聞が報じた。
既存のホテルや旅館と違い、大きな看板などがなく外観から宿泊施設であることがわかりにくい。すでに京都市内にも多数の民泊施設があり多くのインバウンド客によって利用されていたが、タクシーの乗務員が宿泊施設の場所がわからずスムーズな案内ができていなかったという。
住宅宿泊事業法の成立を受けて京都市は条例化を検討しており、京都市内でも今後一定のルールのもとで民泊施設が増えることに備え、要望書の提出を行ったという。
要望書では、京都市内でも広がる無許可民泊施設への厳正な対処を求めるほか、合法的な民泊施設であることが一目でわかるマークの表示を義務付けるなどの措置などを求めた。
京都市内には4,000件の民泊物件が存在
民泊のデータ解析を手掛けるメトロエンジン株式会社が提供するメトロデータによると、京都市内には4,000件の民泊施設があり、行政区別では下京区が約1,000件でもっとも多く、次いで中京区、東山区が続く。
下京区は、京都府最大の鉄道ターミナルである京都駅を抱えるほか、河原町通・烏丸通・堀川通など市の主要幹線道路が走り、鉄道とバスが集中するなど交通拠点としての大きな役割を担っている。京都の主要な観光スポットともえる清水寺や伏見稲荷大社など訪日客に人気エリアへのアクセスの便もよいことも人気の理由として影響している。
京都だけに限った問題ではない
京都市が6月21日に発表した「京都観光総合調査」によると、2016年の市内の無許可民泊宿泊者は110万人(推計値)に上る。同年に京都市を訪れた修学旅行生の110.5万人とほぼ同数の規模にまで成長していることが明らかになった。
京都市では修学旅行生と同数まで民泊が利用されている一方で、旅行者から宿泊施設の住所を見せられる可能性が多いタクシーの乗務員が旅行者にスムーズな案内ができない状態がおきていたようだ。
この問題は京都市に限ったものではなく、全国でも同じような問題が起きている可能性が高い。住宅宿泊事業法の施行とともに民泊施設が今後さらに増えることが予想されるが、民泊でも訪日外国人がスムーズに部屋に辿り着けるような仕組み作りも大切になってきそうだ。