【特集】世界大手ホテルチェーンのマリオット、高級民泊2千軒の提供を本格スタートへ

ホテルチェーン世界最大手のマリオット・インターナショナル(Marriott International)は、北南米やヨーロッパなど100以上のエリアで高級な民泊物件2千軒を取り扱う「Homes & Villas by Marriott International」を開始することを明らかにした。新サービスは、2019年5月初旬から開始される予定。

マリオットのグローバル商業最高責任者、ステファニー・リナーツ(Stephanie Linnartz)氏は、「Homes & Villasの立ち上げは、消費者の旅行ニーズの変化に対応するための継続的な取り組みを反映したもの」とし、「暮らすような空間と快適性をお客さまに提供する」とコメントしている。

マリオットは、2018年5月にヨーロッパを中心にAirbnb等で約1,500の物件管理を手掛ける民泊運営代行会社と業務提携。民泊仲介サイト「Tribute Portfolio Homes」をパイロットプログラムとしてローンチし民泊事業への参入を発表していた。

トライアル期間中、予約したゲストの90%近くはロイヤリティ・プログラム「Marriott Vonvoy(マリオット・ボンヴォイ)」の会員で、75%以上が家族や友人とのレジャー旅行に利用。宿泊客の滞在日数はホテル滞在日数の3倍以上だったという。

「Tribute Portfolio」が好調なスタートを切ったことを受けて、サービス名を新しくリニューアルし、アメリカなどにもサービスを拡大し本格的なサービス展開を開始する。現在、アメリカ内の管理会社と同地域での事業立ち上げに向けた調整を進めているという。

「Homes & Villas by Marriott International」より

 

「Tribute Portfolio Homes」が成功した理由とは

最大手ホテルチェーンとして知られるマリオット・インターナショナルであるが、Airbnbが牽引した「民泊サービス」に対する知見は多くはなかったと言えるだろう。

そんなマリオットが初めて開始した民泊仲介サービス「Tribute Portfolio Homes」で一定の成功を収め、この度提供エリアを拡大するに至った背景にあるのは、「Hostmaker(ホストメーカー)」との業務提携だ。

Hostmakerは、ロンドンやバルセロナ、パリなどヨーロッパを中心にAirbnbの管理運営を手掛けていた民泊代行会社。Airbnbとして貸し出す民泊物件のインテリアや日常的な清掃、予約管理、チェックインサービスなど民泊向けサービス全般を提供していた。

Hostmakerは、Airbnbを利用する宿泊客の「おもてなし」を現地で行っていた企業であり、Airbnbの宿泊客のニーズを最前線で理解しているのが強みと言える。

マリオットは、民泊業界で急成長を遂げていたAirbnbへの対抗策として、Airbnbの成長とともにサービスを拡大させていた「Hostmaker」に白羽の矢を立てた。この判断が、民泊サービスの成功要因の一つとなったと言っても過言ではない。

2019年5月から新サービス「Homes & Villas」のサービス提供を開始するのに伴い、パイロットプログラムとして提供されていた「Tribute Portfolio Homes」の看板は下ろし、「Homes & Villas」として本格的にスタートさせる考えだ。

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「Tribute Portfolio Homes」より

 

対応エリアや民泊物件は今後も拡大予定

マリオットは新サービスの開始に伴い、Marriott Vonvoyのロイヤルティメンバーがポイントの収集や獲得ができる約40カ所のレジャー地を追加。イタリアのソレントやアマルフィ海岸、米国のタホ湖、カリブ海のセントバーツ島などにある豪華な邸宅が加わった。

これら民泊物件については24時間365日の対応サポート、清掃、高速Wi-Fiや上質なリネンとアメニティの提供などをマリオットが厳選する複数の物件管理会社やホテルオペレーターが担う。

Homes & Villasの担当副社長 Jennifer Hsieh 氏は、「専門の管理会社と協力することで、様々なタイプの物件提供やシームレスな予約設計など、得意とする分野に専心できる」と述べた。今後もHomes & Villasの市場を拡大し、物件数も増やす予定だという。



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