観光庁は、全国的に住宅宿泊事業(民泊)の事業廃止件数が増加していることを受けて住宅宿泊事業の廃止理由調査を実施し、「旅館業・特区民泊への切り替え」を廃止理由として答えた人が5割を超えていたことが明らかになった。
観光庁が毎月公表している住宅宿泊事業法に基づく届出及び登録の状況によると、2019 年 10 月 10 日時点の届出件数は 20,919 件で、そのうち事業廃止を決めた件数は 1,805 件にまで増えていた。
住宅宿泊事業法では、年間の最大営業日数は原則として 180 日以内で自治体によってはさらに厳しく制限されている場合も多い。このため、以前から住宅宿泊事業を廃止し、1 年間 365 日営業ができる特区民泊や旅館業へ切り替える動きは出ていた。
業界内では、旅館業や特区民泊への切り替えを行うことを前提に、住宅宿泊事業として一時的に営業を行い、許認可が下り次第、旅館業や特区民泊に切り替える事業者が後を絶たない。
なお、今回公表された住宅宿泊事業の廃止理由調査は、2019 年3月に第一回の調査が行われており、、「旅館業・特区民泊への切り替え」を廃止理由として答えた人の割合は、前回の 37.6% から 57.8% と前回に比べ大幅に増加している。
廃止理由として次いで多かったのは、管理規約での禁止や賃貸人の承諾取り下げ等により「事業を行う権利がなくなったため」(8.1%)、「収益が見込めないため」(7.2%)が続いた。
また、その他の理由について内容を分析したころでは、41 の回答中 20 件のケースで、他の事業者に運営者が変更される等、事業継続の意思があるものとなっていたという。
住宅宿泊事業(民泊)の事業廃止件数は2千件間近まで増えていることから一見、民泊を止める人が増えているように見えるが、実態は業の種類や事業者などを変えただけであり、民泊の事業自体は継続する意思がある事業者が多いようだ。