観光庁は11月22日、民泊(住宅宿泊事業)の届出手続きにおいて一部自治体による不適切な運用が行われていたことを受け、その具体的な事例や自治体名を公表するとともに、住宅宿泊事業の届出に係る手続の適正な運用を求める通知を発出した。
届出を行うことで民泊の営業を可能にする住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行されたが、法施行前に約54,000件※近くあった民泊物件は10月31日時点で約10,000件程度にとどまり、未だに民泊物件の届出件数は低調なままだ。
※民泊市場のリサーチ・調査を手掛けるメトロエンジン株式会社の民泊ダッシュボードによる
民泊を推進することを目的として成立した法施行により民泊が伸び悩む要因の一つとなっているのが、一部自治体によるいわば「嫌がらせ」ともいえる民泊の届出手続きにおける不適切な運用だ。
観光庁が行った実態調査結果によると、那覇市と文京区の2自治体で住宅宿泊事業法に規定のない事前相談を義務付けていたほか、92自治体において、法令に規定されていない独自の書類の提出を求めていた。
また、住宅宿泊事業法の届出では、ガイドラインにおいてインターネット上の届出システムを利用することを原則としているのにもかかわらず、「システム利用を推奨していない」との回答が23自治体で得られたという。
観光庁が公表した「住宅宿泊事業の届出に係る実態調査結果」では、住宅宿泊事業法事務を担う 101 自治 体(47 都道府県、31 保健所設置市、23 特別区)に対して調査を実施。
本調査結果により、これまで表立ってはいなかった一部自治体による民泊届出に対する「嫌がらせ」の実態が明るみに出た。