民泊のエリア選びで重要!「民泊」に対する自治体の対応

1月から東京都大田区で特区民泊がスタート。4月には大阪府でも特区民泊が開始されるなど、「民泊」に注目が集まっている。

一方で、軽井沢町は3月30日に民泊を認めない方針を発表。国は民泊の拡大を目指して規制緩和を行っているが、このように独自の規制を設け「民泊」を禁止する自治体が出てきているのは注意が必要だ。

これから民泊へ参入を検討している事業者にとって、物件選びの際に利益が出る物件を選ぶのは当然として、「民泊」に対する各自治体の考えや方針も考慮した物件エリアが重要になってくる。

今回は、「民泊」に対する各自治体のスタンスを調査。物件エリア選定の際の参考として欲しい。

 

明確に「民泊を禁止する」自治体

長野県軽井沢町

軽井沢町は、3月30日に「民泊施設等の取扱基準」を発表。清らかな環境と善良なる風俗を守るために同基準を設け、民泊施設※(貸別荘を除く)は、町内全域において認めない。

※民泊施設とは、改正後の旅館業法施行令(平成28年4月1日改正)により延床面積の規定が緩和されたことにより生じる簡易宿所(いわゆる「民泊」)をいう。

関連リンク
民泊施設等の取扱基準を設けました

 

民泊に厳しい姿勢を見せる自治体

京都府京都市

京都市は2015年11月20日、観光や衛生、消防などの担当職員で「民泊」対策のプロジェクトチームを発足。

このプロジェクトチームは、Airbnbなどのインターネット上に公開されている民泊施設の実態調査を行い、旅館業法などの法令に基づいて運営されていない場合は指導も行うという。

実際、2016年1月に発表された「民泊」実態調査の中間報告では、最大手の民泊仲介サイトである「Airbnb(エアービーアンドビー)」に2,542件(宿泊可能人数1万428人)が登録され、うち54%はマンションの一室を貸す「貸切」タイプで提供されているなどの調査結果が発表された。

プロジェクトチームを発足するなどする自治体は京都市以外にはなく、民泊に対してもっとも力を入れているといえる。

関連リンク
民泊の利用及び提供に当たって(重要)
《消防法》宿泊施設(民泊,ゲストハウス等を含む。)の開設を計画されている関係者の皆様へ
《建築基準法》宿泊施設の開設を計画されている関係者の皆様へ
京都市民泊施設実態調査の中間報告について(速報)

広島県広島市

広島市は、民泊の実態調査を実施。調査の結果、所有者との連絡が取れた施設のうち約4割が無許可営業であることがわかったという。無許可営業の民泊に対して市は、運営を中止するよう指導を行うという。

《関連記事》
広島でも民泊実態調査で無許可民泊に中止指導へ

 

東京都台東区

東京都台東区は、3月下旬に民泊を事実上不可能にする条例案を可決。「営業時間内は従業員を常駐させる」、「玄関帳場その他これに類する設備を有する」ことなどの条件を追加で課す区の旅館業法施行条例改正案を議員提案し、全会一致で可決した。

マンションなどの1室で運営することもありうる民泊施設において従業員を常駐させるのはほぼ不可能であり、事実上民泊運営を不可能にする条例であると言える。

《関連記事》
台東区が民泊を事実上不可能にする条例案を可決

 

合法的に民泊可能な自治体「特区民泊」

2016年4月より特定認定の受付がスタート。大阪府の一部地域で実施が可能(詳細は地下の通り)。

大阪府の一部エリア

特区民泊実施地域
《実施可能》
市街化区域のうち工業専用地域を除く全地域で実施
能勢町
守口市
泉佐野市
忠岡町
大東市
《実施可能》
市街化区域のうちホテル・旅館の建築が可能な地域(※)
※第1種住居地域にあっては、床面積3,000平米以下
豊能町
箕面市
茨木市
門真市
四条畷市
八尾市
島本町
摂津市
寝屋川市
羽曳野市
太子町
狭山市
柏原市
藤井寺市
富田林市
河南町
千早赤阪村
河内長野市
貝塚市
熊取町
田尻町
和泉市
岸和田市
高石市
泉大津市
泉南市
阪南市
岬町
 《実施未定》
現時点では実施しない地域
池田市
交野市
松原市
吹田市
《実施未定》
対象外地域(保健所設置地域)
大阪市
堺市
東大阪市
高槻市
枚方市
豊中市

 

東京都大田区

大田区における特区民泊の実施地域は、建築基準法第48条により「ホテル・旅館」の建築が可能な用途地域(第1種住居地域にあっては3,000平方メートル以下)となる。

大田区における国家戦略特別区域外国人滞在施設経営事業(旅館業法の特例)の実施地域(PDF:399KB)

実施地域:第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、商業地域、準工業地域、第一種住居地域(3,000平方メートル以下)ただし、上記地図上の①~⑧の斜線部分は諸法令による制限を受けるため実施できません。

 

規制緩和を行った自治体「簡易宿所」

福岡市は、2016年12月1日に改正旅館業法施行条例を施行し、民泊に関わる規制を緩和。

従来の福岡市旅館業法施行条例では玄関帳場(フロント)の設置が義務付けられるとともに、同一の建物で旅館業とその他の用途が混在が認められていなかったが、改正後は市内市のマンション一室でも民泊営業が可能になった。

《関連記事》
【福岡市】改正条例による玄関帳場代替措置の内容とは



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