個人宅に旅行者を泊める民泊が日本全国で増えている一方で、その大半が旅館業法の許可を取らない無許可営業を行っていることから問題になっていたが、厚生労働省と観光庁は6月10日、取り締まり業務の一部を民間に委託を進める方針であることを発表した。
住民から無許可民泊に関する通報を受けた自治体が、営業実態の確認作業などを民泊に委託できるよう、6月中に出す報告書で明確化するという。
無許可民泊の取り締まりが難しい理由
世界大手のエアービーアンドビーをはじめとする民泊仲介サイトは、掲載されている民泊物件の所在地を公開しておらず、宿泊料金の支払いが終わったゲストにのみ公開されるだけに限定されている。これが無許可民泊取り締まりを難しくしている理由である。
そのため、民泊仲介サイトに掲載さている民泊施設の住所を特定しようする場合は、民泊施設の写真や外観写真などのヒントから物件の所在地を特定する必要があり調査だけで時間がかかってしまう。そのため今までは、近隣住民からの通報などをもとに調査するにとどまっている自治体が大半であった。
京都レベルも?無許可民泊の摘発強化へ
多くの事態が民泊の調査に苦慮する中で、民泊の施設のほぼすべてを調査した自治体、それが京都市だ。
京都市では、2015年11月に、観光や衛生、消防などの担当職員で構成された「民泊」対策に特化したプロジェクトチーム(「民泊」対策PT)を発足。4月には産業観光局と保健福祉局のそれぞれに宿泊環境整備や民泊対策を担当する課長,係長を新設し体制を強化し、実態調査を行っていた。
その結果、2,702件の全民泊施設を洗い出し、そのうち46.6%にあたる1,260件の無許可民泊の所在地を特定。順次、調査が行われている状況だ。
民泊への委託となれば、人員不足によりあまり進んでいなかった民泊の実態調査が進み、従来よりも調査が早く進む可能性高い。
すでに京都市では、対策の強化により無許可営業をしていた民泊ホストによる撤退が相次いでいる。調査の民泊委託により無許可民泊ホストさらに厳しい状態に追い込まれることになりそうだ。