長野県、民泊新法を受けて日数の規制条例を検討へ

長野県の阿部守一知事は6月28日、民泊の実施期間を制限する条例制定を検討していることを明らかにした。県内のホテルや旅館など、既存の宿泊施設に影響が出ないようにすることが目的だ。県議会の一般質問に答えた。

長野県が民泊の実施期間を制限するのは、全国ワーストの客室稼働率の低さがある。観光庁が6月30日に発表した宿泊旅行統計調査によると、2016年の長野県の宿泊稼働率(確定値)は全体で35.1%と全国最低(全国平均の稼働率は59.7%)。このような背景もあり、阿部知事は「私自身も不安、懸念を感じていた。マイナスの影響が極力、生じないようにしたい」と語り、民泊解禁に向けて慎重な姿勢を見せている。

 

【都道府県別宿泊施設の客室稼働率(全体)】(2016年1月~12月)

ワースト稼働率ベスト稼働率
長野県35.1%大阪府83.3%
福井県40.4%東京都78.8%
新潟県41.0%福岡県70.8%
山梨県44.6%愛知県70.2%
奈良県45.9%神奈川県67.8%

※参照:観光庁の宿泊旅行統計調査による

一定のルールのもとで民泊を全国的に解禁する住宅宿泊事業法(民泊新法)が6月9日に成立。民泊新法では、事前に届出を行うことで年間180日以内に限り民泊運営を行うことができるようになる一方で、自治体ごとに条例を制定することで厳しい規制をかけることで営業可能日数をさらに短縮させることも可能だ。客室稼働率が全国でワーストの長野県にとって、既存の宿泊施設保護の観点から、民泊解禁に慎重にならざるを得ないのが実情だ。

 

民泊新法成立で、制限条例の検討が相次ぐ

民泊の宿泊日数をめぐっては、北海道でも条例によって上限を短縮する検討に入る。主に訪日外国人が民泊を利用することにより、近隣住民の生活環境悪化を防ぐのが主目的だ。全国的に民泊利用者の騒音、ごみ出しルール不徹底などで近隣トラブルとなることが多く対策に乗り出す。なお北海道の同客室稼働率は全体で61.7%、上位12番目と全国的に見て高水準だ。

2018年1月にも施行される民泊新法をめぐり、今回の長野県のケースはほかの自治体にも影響を与えそうだ。宿泊施設の稼働率が全体で50%未満はこのほか、12自治体を数える。今後、民泊新法が施行されるまでの間に、稼働率が低い自治体で同様の動きが出てくる可能性も高い。

その一方で大阪府や東京都のように、稼働率の上位1、2位の自治体でも、違法民泊が後を絶たず、近隣住民とのトラブルも数多く発生。ヤミ民泊によって、マンションなどの管理規約に抵触し、訴訟になるケースも増えている。民泊新法が成立したが、地域の実情にあわせた適正なルール作りはこれからだ。