札幌市、函館市など、民泊の規制条例を検討へ

住宅宿泊事業法(以下、民泊新法)が6月に成立を受けて、北海道は民泊による道民の生活環境悪化を防ぐため、特定の区域で営業期間を短縮する条例の制定を検討していることをNHKが伝えた。

道内にも多くの民泊利用が訪れており、騒音など住民とのトラブルも報告されており一定の規制をかけることで生活環境の悪化を防ぐとともに適切なルールのもとに運営される民泊増やしたい考えたいようだ。

民泊新法では、事前に届出を行うことで年間180日以内に限り民泊運営を行うことができるようになる一方で、自治体ごとに条例を制定することで厳しい規制をかけることで営業可能日数をさらに短縮させることも可能だ。

北海道においては政令指定都市で道庁所在地の札幌市、札幌に次ぐ人口を擁する中核市の旭川市と函館市、札幌市に隣接する小樽市の計4市が、道とは別に独自で旅館業法施行条例を制定している。北海道は、これらの4市と民泊施行後のあり方について協議を進める。

 

札幌市、無許可民泊に対する取り締まりを強化

北海道の中でも民泊の施設数が多い札幌市は、これまでも無許可民泊への対策を強化している。今年2月には民泊に関する苦情や相談などを専門に受け付ける「民泊通報・相談窓口」を設置した。札幌市はすでに設置済みの京都市、大阪市に次ぐ全国3例目。

《関連記事》札幌市、無許可民泊13件に営業中止を指導

札幌市は「民泊通報・相談窓口」に寄せられた相談・通報の情報をもとに、すでに13施設に対して営業中止を指導するなど旅館業法の許可を取得せず運営を行う民泊施設の対策強化に乗り出していた。

札幌市の民泊施設は、その半数以上が札幌時計台や大通公園などの観光地がある中央区にあり、訪日外国人から人気が高い。札幌市は、通報窓口の解説や職員の増員などにより無許可民泊の対策強化に本腰を入れており、民泊新法後も民泊の運営に対して一定の歯止めをかける可能性は高いと言える。

 

アジアを中心に訪日客が急増する北海道

北海道経済部観光局によると、道内外国人客数は中国や台湾などのアジアを中心に急増しており、2015年(1~12月)は208万人で過去最高を更新した。20年に300万人としていた従来目標の達成は確実で、目標を新たに500万人とし観光戦略を一段と強化する。

訪日客の急増ととともに宿泊ニーズも今後さらに増えることは確実で、民泊新法の施行を目前に昨今訪日客を中心に需要が高まる「民泊」を道としてどうするのか重要な問題と言えそうだ。

北海道知事は2016年3月の道議会で民泊について「地域経済の活性化や本道の魅力を生かした多様なツーリズムといったさまざまな観点から、今後の対応について検討していくことが必要」と答弁。さらに「地域や事業者のニーズなどをお伺いし、新たなルールや必要となる規制緩和も含めて検討したい」などとしている。

訪日外国人来道者(実人数)の推移(北海道経済部観光局)

北海道における民泊のあり方とは?

北海道は、昨年4月に北海道における新たな民泊のあり方を検討するため、庁内横断的な検討会を設置。これまで9回の検討会が開かれ、国の検討状況を踏まえながら民泊のあり方についての話が行われていた。

北海道は、旅館者が安心・安全に宿泊できること、北海道の暮らし、文化、人と触れ合うこと、道民の生活環境や既存の宿泊施設との調和を図ることを基本的な考え方とし、民泊を「ふれあい民泊」タイプと「まちなか民泊」タイプに区分し、それぞれのタイプごとの方針にそって民泊を普及させたい考えのようだ。

「ふれあい民泊」とはおもに地方部で民泊ホストとの交流や農業・漁業などの地域のふれあいを楽しむタイプの民泊。一方で、「まちなか民泊」とはおもに都市部でマンションなどの空室を利用する民泊のタイプを指している。

ふれあい民泊の展開例では、フロント機能を観光協会や商工会、ホテル旅館などに窓口業務を委託する案が検討されているなど面白い取り組みが検討されているようだ。北海道が民泊に対してどのような取り組みを行っていくのかこれからも注視していきたい。



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