名古屋市は8月10日、副業の許可を得ずに民泊を営業したとして、交通局の男性バス運転手(40)を地方公務員法違反(営利企業などの従事違反)で、減給10分の1(6日間)の懲戒処分とした。産経新聞などによると、民泊は旅館業法の許可を取得していない無許可営業だった。
市によると、男性職員は2015年10月~17年2月にかけて、名古屋市中区の賃貸マンション2室を約200万円で借りて民泊として営業。民泊の仲介サイトに掲載し、約830万円の収入を得ていたという。民泊を営む際に必要な旅館業法の許可も受けず、「ヤミ民泊」として運営していたという。
問題が発覚したのは2016年6月で、近隣住民から「部屋にいろんな人が出入りしている」との苦情がマンション管理会社に寄せられたのがきっかけ。管理会社から連絡を受けた保健所が調査を行い、旅館業法の許可を得ずに民泊を運営していたことが判明した。保健所では男性職員に対し、営業をやめるよう行政指導を行い、男性職員の地方公務員法違反も明らかになった
市の聴き取りに対し、男性職員は「投資の一環として始めた。生活費の足しにしたかった」(8月10日付朝日新聞)と話しているという。当初は男性が妻名義で運営していると民泊運営の関与を否定。しかし、市が調査を進めると、男性職員が自身の名義でマンションの賃貸契約を結び、同じく民泊サービスの登録をするなど、深く関わっていたことが明らかになった。このため市では、男性職員への懲戒処分を決めた。
地方公務員法は、地方公務員法第38条で「営利企業への就職禁止」「自営を禁止」と定めている。副業を営むには、任命権者の許可が必要となる。国家公務員・地方公務員の副業を禁止する3原則は以下の通り。
1.信用失墜行為の禁止(地方法務員法第33条)
2.守秘義務(地方公務員法第34条)
3.職務専念の義務(地方公務員法第35条)
地方公務員法の規定によると、小規模な農業や不動産業などは副業に該当しない。ただし、戸建て5棟以上、マンション10室以上の部屋の賃貸などでは、副業とみなされていまう。年額500万円以上の賃貸(駐車場収入なども)料収入があれば、小規模とは見なされないのだ。今回の男性職員の場合、一定以上の収入があり、旅館業法にも抵触したため、処分の対象になった。
無許可民泊をめぐっては、インバウンド(訪日外国人)の増加にともない、騒音など多くのトラブルも発生している。民泊は店舗営業とは異なり、副業で始められることから、兼業ホスト(運営者)が多い。しかし、ここ数年で民泊の知名度が高まったこともあり、無許可民泊への近隣住民の目が不正防止に厳しく向けられている。