大分県が2018年度から民泊監視員の導入を検討していることがわかった。住宅宿泊事業法の施行を受けて、無届けの民泊運営を監視するもので、行政指導を通じて民泊の健全化を目指す。民泊監視員の導入は全国の自治体で初めてで、今後の取り組みなどが注目される。
駐車監視員の民泊版ともいえる民泊監視員は、県の食品・生活衛生課に2人を配置する予定。県の18年度予算で約860万円を計上している。主な仕事は民泊の届け出があった全施設を対象に、立ち入り検査を実施し、項目に沿ってチェックしていく。
【民泊監視員の主なチェック項目】
・床面積の確認(宿泊者1人当たり3.3㎡以上)
・定期的な清掃状況や換気設備の状況確認
・非常用照明の設置状況
・避難経路の表示確認
・外国語など多言語での案内表示
・宿泊者名簿の確認
・民泊の標識掲示の確認
・県へ定期報告の有無を確認
民泊監視員、他の自治体でも広がる可能性も
民泊監視員を配置する背景には、6月15日に施行される住宅宿泊事業法(民泊新法)だ。県によると、インターネットの民泊仲介サイトに掲載している民泊物件は300件以上を確認。民泊新法の施行に合わせて、参入する事業者が多数に上るとみられ、専門の監視員の必要性があると判断した。
監視員はチェック項目を順守していない民泊施設に対し、家主や事業者に業務改善命令や業務停止命令など、行政指導をして健全運営化を図る。無許可の民泊施設は、看板などがなく所在地がわかりにくいことから住民からの通報で発覚するケースが多い。
住宅宿泊事業法の施行後、現状無届けで運営されている民泊が届出を行うかは未知数であるが、民泊監視員の設置は抑止力として働きそうだ。民泊監視員の設置は全国で初めての試みとなるが、他の自治体で同様に民泊監視員の設置が広がる可能性はある。
2017年のインバウンド(訪日外国人)は2,869万と過去最多を記録。19年は大分も会場になるラグビーのワールドカップ、20年に東京五輪・パラリンピック開催など、多くのインバウンドが見込まれるビッグイベントが控える。
大分県は、民泊監視員制度の創設を通じ近隣住民の良好な生活環境を維持しながら民泊の適切な利活用に向けた指導体制を整備する。