自宅の空き部屋等を旅行者に貸し出す「民泊」について、厚生労働省は、旅館業法で定める「簡易宿所」と位置づける方針を固めていましたが、その床面積規制を引き下げる方向で検討していることがわかりました。
現状、「簡易宿所」で指定されている客室の延床面積は、「33平方メートル以上」となっており、この床面積規制を緩和し、不足する宿泊施設の問題を解決する狙いがあるものとみられます。
中間報告は厚生労働省が設置した有識者による検討会である「「民泊サービス」のあり方に関する検討会」で2016年3月めどに中間報告をまとめる方針です。
「旅館業法遵守に関する通知に係るフォローアップ調査結果の概要」によると一般住宅などを使用した旅館業の営業許可に関する相談件数は、全142の自治体の37%にあたる53の自治体が増加したと回答。
一般の住宅を利用して民泊を行うと考える人が増えていることが伺えます。
その一方で、営業の許可ができなかった事例は、全142の自治体のうち32%にあたる46の自治体であり、旅館業法に関する事例が、全215件中92件を占めており最大の壁になっていることがわかります。
なお全92件中51%にあたる47件が許可できなかった理由として「面積基準」を上げており、一般の住宅で旅館業の営業許可を取得することの難しさを物語っています。
旅館業法の簡易宿所とは
旅館業には、「ホテル営業」「旅館営業」「簡易宿所営業」「下宿営業」という4つの営業種別があり、営業種別毎に許可基準が異なっています。
民泊が位置付けられることになる「簡易宿所営業」とは、客室を多数人で共用する宿泊施設での営業のこと。いわゆるカプセルホテルや民宿、キャンプ場のバンガローなどが該当します。
簡易宿所の規制内容とは
ホテル営業 | 旅館営業 | 簡易宿所営業 | |
---|---|---|---|
概要 | 洋式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業 | 和式の構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業 | 宿泊する場所を多数人で共用す る構造及び設備を主とする施設 を設け、宿泊料を受けて、人を 宿泊させる営業 |
旅館業法との関係 | 適用あり | 適用あり | 適用あり |
名簿 | 住所、氏名、職業を記した宿泊名簿を備えること | 同左 | 同左 |
客室数 | 10室以上 | 5室以上 | 規制なし |
客室床面積 | 9㎡以上/室 | 7㎡以上/室 | 延床面積33㎡以上 |
玄関帳場 | 宿泊しようとする者との面接に適する玄関帳場その他これに類する設備を有すること。 | 同左 | 規制なし |
換気など | 適当な換気、採光、照明、防湿及び排水の設備を有すること。 | 同左 | 同左 |
入浴設備 | 宿泊者の需要を満たすことができる適当な数の洋式浴室又はシヤワー室を有すること。 | 当該施設に近接して公衆浴場がある等入浴に支障をきたさないと認められる場合を除き、宿泊者の需要を満たすことができる適当な規模の入浴設備を有すること。 | 同左 |
そのほか | 都道府県(保健所を設置する市又は特別区にあっては、市又は特別区)が条例で定める構造設備の基準に適合すること。 | 同左 | 同左 |