大阪府は、1泊1万円以上のホテルや民泊などの宿泊施設の宿泊客から徴収している「宿泊税」について、課税範囲を「1泊7千円以上」に拡大する改正条例を2019年6月1日に施行した。
大阪府は都市の魅力を高め、観光振興を図る施策への費用に充てるため、2017年1月に法定外目的税として宿泊税を導入。開始当初はホテルと旅館のみを対象としていたが、民泊物件の増加を背景に同年7月に簡易宿所と特区民泊を追加。
2018年6月届出を行うことで民泊営業を可能にする住宅宿泊事業法の施行されたことを受けて、2018年10月より住宅宿泊事業に係る施設も宿泊税の対象となっていた。
改正条例の施行により、大阪府の宿泊税は、宿泊料金(1人1泊)が7千円未満の場合は課税対象とはならないが、7千円以上~1万5千円未満の場合100円、1万5千円以上~2万円未満なら200円、2万円以上は300円を徴収する。
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急増する特区民泊を背景に「民泊」に照準か
大阪では特に大阪市を中心に特区民泊が急増している。内閣府地方創生推進事務局によると、2018年6月時点で約3千室だった大阪市の特区民泊申請居室数は、2019年4月には7千6百室にまで増加。
東京都大田区なども含めた日本全国の特区民泊の申請居室数は5千3百室で、大阪市のシェアは9割にも上り、注目度は高い。大阪市の特区民泊はこのままのペースを維持したまま成長を持続させた場合、年内に1万室を突破する見込みだ。
民泊サービスは元々個人が提供するサービスに由来するものであることから、外資系高級ホテルが提供するような人によるフルサービスとは異なり、IoT等を駆使したローコスト運営により、宿泊税の課税対象とならない場合もあった。
「1泊1万円以上」から「1泊7千円以上」に課税対象を拡大する「免税点の引き下げ」は、府内で拡大する特区民泊の増加に照準を当てた変更となりそうだ。
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