札幌市は12月27日、住宅に旅行者を泊める「民泊」の営業を規制する民泊条例案を明らかにした。小中学校周辺と住居専用地域等で、年末年始などを除き土日のみの営業に制限する。道条例の素案と同様の内容で、2月の市議会に条例案を提出し来年6月の施行を目指す。
《関連サイト》札幌市住宅宿泊事業の実施の制限に関する条例(素案)
約1千件の札幌市、無許可民泊の取り締まりを強化
北海道の中でも約1千件の民泊施設がある札幌市は、これまで無許可民泊への対策を強化。今年2月には民泊に関する苦情や相談などを専門に受け付ける「民泊通報・相談窓口」を設置していた。札幌市設置はすでに設置済みの京都市、大阪市に次ぐ全国3例目となる。
札幌市は「民泊通報・相談窓口」に寄せられた相談・通報の情報をもとに、すでに13施設に対して営業中止を指導するなど旅館業法の許可を取得せず運営を行う民泊施設の対策強化に乗り出していた。
札幌市の民泊施設は、全体の5割が札幌時計台や大通公園など観光スポットを有する中央区にあり、訪日外国人から人気が高い。
出典:メトロデータ
全国的に、民泊条例の制定に向けた動きが加速
来年施行される住宅宿泊事業法を前に、札幌市以外にも各地で独自条例を制定する動きが加速している。札幌市以外にも東京都23区の一部、群馬県、奈良県でも同様の動きがあり、今後も全国的に条例による民泊規制の動きが出てくることが予想される。
観光庁は12月26日、民泊条例の制定に関するガイドラインを発表し、独自条例で「通年の営業禁止」や「住居専用地域全域での禁止」など、過剰な規制をしないよう求める。
現在、複数の自治体で民泊を制限する条例案を制定する動きが増えているが、他の自治体でも住宅地での民泊営業が制限される事態となれば、民泊新法が骨抜きとなる可能性も高く今後の動向から目が離せない。