中国最大の民泊仲介サイト「トゥージア(途家)」のCOO 揚 昌楽(ヤン チャンルー)氏が8月に来日したのにあわせ、本メディアでは今後の日本戦略について独占インタビューを行いました。日本を訪れる旅行者がもっとも多い国である中国で最大の物件数を有するトゥージア(途家)が、今後の日本での取り組みについて本メディアに語りました。
ユニコーンの仲間入りをした「トゥージア(途家)」の生い立ち
トゥージア(途家)は2011年12月1日正式に設立され、既にサービス開始から5年以上経ちました。2012年12月に、トゥージア(途家)はバケーションレンタルサイトのHomeAway(ホームアウェイ)と協力して海外の部屋掲載を開始し、中国人の海外旅行者向けにも宿泊サービスの展開をスタート。
2016年、トゥージア(途家)は正式に海外事業を開始し、日本を含む重要な市場に事務所を設け、民泊物件の開拓を強化。現時点でトゥージア(途家)は既に70ヵ国1,100の都市で展開し、登録物件数は50万件を超えています。アパート、別荘、民宿など多様な宿泊施設を掲載することで、家族旅行、チームビルディング、ビジネス出張、レジャーリゾートといった多様な宿泊ニーズに対応することができるようになっています。
これまでの成長の過程とは
トゥージア(途家)は、2015年8月にD及びD+ラウンドで3億USドル(約330億円)の調達を行うなどこれまで4回の出資を受け入れ、企業評価額は10億USドル(約1,100億円)を超え、ユニコーン企業の仲間入りを果たしました。2016年に、トゥージア(途家)はmayi.com(蚂蚁短租)を買収したのに加えて、Ctrip(携程)およびQunar(去哪儿)の民泊事業も買収し、さらに事業を拡大。2016年8月4日には、1日の宿泊予約数が56,000件を突破し、中国の民泊市場でトップの宿泊予約数を記録しました。
中国の不動産市場では、この数年間で急速に市場が拡大した影響で空き部屋が増加したことにより、近年は中国の旅行業界の発展も目覚ましく従来の宿泊施設とは異なる新しい宿泊体験が求められるようになってきています。トゥージア(途家)はサービス開始当初はB2Cのビジネスモデルで始まりましたが、市場の変化にあわせB2Cに加えてC2C、直営など多様なビジネス展開を始めています。
民泊市場への参入を選んだ理由とは
“トゥージア(途家)“は「一人ひとりのユーザーに旅の途中で家を提供し、旅にさらなる暖かさや嬉しさを与えたい」そんな思いで始まったサービスです。民泊はシェアリングエコノミーにおける新しいマーケットで、中国におけるマーケット規模は莫大です。トゥージア(途家)創業者が大の旅行好きであったということも民泊事業を始めた理由の一つです。
会社の創業時に苦労した事とは
会社の創業時に、苦労した点は空き部屋の開拓でした。2011年年末、CEOの羅軍は湖南省にある観光地である凤凰水城付近に空き部屋を持っていたオーナーにトゥージア(途家)で掲載してほしいとお願いしました。空き部屋をトゥージア(途家)上で貸し出し、借り人が出た場合は獲得する宿泊代金を折半するという提案をオーナーは承諾。オーナーははじめは半信半疑でしたが、インターネット上で羅軍の“プロフィール“を調べたようで安心してもらえました。
中国最大の民泊サイト「トゥージア(途家)」の特徴とは?
トゥージア(途家)はオンライン・オフラインを含めた包括的な民泊サービスの提供を行なっています。オンライン事業としては、中国最大のオンライン旅行サイトCtrip(携程)やQunar(去哪儿)と連携することで多くの旅行者を獲得することができています。オフライン事業としては、民泊運営の代行や収益管理に関するコンサルティングなども行なっています。
トゥージア(途家)の競合企業はどこですか?他の民泊サイトに対する強みとは?
我々には、直接的な競争相手はいないと考えています。ユーザーの需要を勝ち取ること、それこそが我々の永遠の課題だと考えています。トゥージア(途家)は旅行客やホストの強みと弱みを含め、中国市場を最も理解している点が強みです。我々は中国の旅行客やホストのニーズに対して様々な解决案を提供し続けることができます。
ゲストとホスト、どちらに力を注力しているのか?
供給と需要をバランスよく保つ必要から、ホストやゲストの両方を重視しており、利用者のニーズに基づいた様々なお部屋のタイプをご用意しています。特に現在は、若年層利用者のニーズに着目しています。
ホストに対して、トゥージア(途家)は主要都市および人気のあるエリアに専門チームを配置し、ホストや民泊物件の開拓、メンテナンスを行なうほか、保険や24時間のユーザーサポートを提供し、ユーザーが困ったときに随時、問題解決できるような仕組みを整えています。
ゲストに対しては、トゥージア(途家)に掲載する部屋の審査を行ない、安心・安全な宿泊施設を掲載するだけではなく、ゲストとホストの相互評価、先払いシステム、保険サービスなどを提供することで、ゲストが毎回安心して予約、宿泊ができる仕組みを整えています。
トゥージア(途家)がゲストに支持され、好かれている理由とは?
トゥージア(途家)はホストから3%の手数料を頂戴する一方で、ゲストからは一切手数料を受け取っていません。これまでトゥージア(途家)で宿泊体験したことがあるゲストへのアンケートでは、トゥージア(途家)の民泊施設に対する評価は最高5ポイントのうち4.6ポイントで、98%を超えるユーザーはトゥージア(途家)の民泊物件を宿泊後、周りの友人や親戚にトゥージア(途家)をおすすめしたいと答えています。
中国から見た日本市場とは?
日本は、中国からの飛行時間が短く、就航便数も多いことから、非常に行きやすい人気の観光地になっています。トゥージア(途家)は2016年に開始した海外戦略に基づき、日本に子会社を設立したことからもわかるように、トゥージア(途家)の日本市場に対する重要度がわかっていただけるのではないでしょうか?
2017年後半まで日本市場への注力度はトゥージア(途家)の海外事業業務の大半の割合を占めるなど、海外戦略においても最も重要な位置付けとなっています。
来年、日本で施行される民泊新法を受けて日本の戦略とは?
民泊新法は民泊市場にとって、とても良いことであると考えています。トゥージア(途家)の日本子会社である日本トゥージア(途家)は日本の法規制を守り、影響力のある日本企業と協力関係を築きながら、スピーディーかつ継続的に日本における民泊物件の開拓を行い、2020年のオリンピック前までに合法かつ適切な在庫を確保することに努めます。
特に、2020年の東京オリンピックは日本の民泊市場にとって大きなチャンスであると考えてます。日本を訪れる旅行者が急増することから宿泊需要が増えることも確実です。これまでは東京や大阪、京都などのような有名都市に注目が集まることが多い状況でしたが、ユニークな特徴を持つ地方都市も旅行者から注目されるようになると考えています。
民泊本来のコストパフォーマンスの良さや宿泊体験の独自性はこのような地方都市でこそ発揮されると考えています。日本旅行における民泊サービスの今後の発展次第では、これまで知名度のなかったような都市やエリアに対しても大きな可能性があるといえます。