宿泊税とは 10月1日の京都市導入に続き、福岡、熱海など全国の自治体で広く検討進む

東京都や大阪府で導入されている宿泊税が、徐々に全国的に広がりつつある。京都市は2018 年 10 月 1 日に宿泊税条例を施行しホテルや旅館、簡易宿所、住宅宿泊事業法の民泊物件も対象に宿泊税を導入。

金沢市も 2019 年 4 月から、倶知安町も 2019 年 11 月から宿泊税の徴収を開始している。また、福岡県と福岡市は宿泊税を巡り一時対立していたが 2019 年5月に双方が課税することで合意し、2020 年 4 月から宿泊税を導入する。

訪日外国人観光客に人気のスキーリゾートを抱える北海道ニセコ町は、2021 年 6 月に宿泊税を導入する方針を固めており、他にも熱海など全国の自治体でも宿泊税導入に向けた議論が進んでいる。

本記事では、史上最速のスピード2,000万人を突破するなど訪日外国人の増加を背景に、全国的に導入が進む宿泊税のに焦点を当てる。

 

宿泊税とは

宿泊税は、観光振興を目的とした「法定外目的税」として全国で初めて2002年10月に東京都で導入。ホテル・旅館を対象として1人1泊10,000円で100円、15,000円以上で200円を徴収している。

大阪府は2017年1月に導入をはじめ、10,000~15,000円未満で100円、15,000~20,000円未満で200円、20,000円以上で300円を徴収する。民泊や簡易宿所への宿泊ニーズの高まりを受けて2017年にこれらも対象施設に加えた。

宿泊税は1人1泊あたりの「素泊まりの料金」と「素泊まりの料金にかかるサービス料」の合計額に応じて宿泊税が自治体ごとに変わる。そのため、消費税や食事代など宿泊以外のサービスに相当する料金は含まれない。

宿泊税の納税義務者は旅館・ホテル、簡易宿所等の宿泊者となるが、都や府、市が宿泊者から直接徴収せず、宿泊施設が宿泊料金と合わせて宿泊税を徴収し都や府、市へ申告納入する「特別徴収制度」をとなっている。

全国の宿泊税

自治体対象宿泊税詳細
東京都旅館・ホテル営業10,000以上 15,000円未満:100円
15,000円以上:200円
大阪府旅館・ホテル営業
簡易宿所営業
特区民泊
住宅宿泊事業
7,000円以上 15,000円未満:100円
15,000円以上 20,000円未満:200円
20,000円以上:300円
京都市
(2018年10月~)
ホテル・旅館営業
簡易宿所営業
住宅宿泊事業
違法民泊も含む
20,000円未満:200円
20,000円以上 50,000円未満:500円
50,000円以上:1,000円
金沢市
(2019年4月~)
ホテル・旅館営業
簡易宿所営業
住宅宿泊事業
20,000円未満:200円
20,000円以上:500円
倶知安町
(2019年11月~)
旅館・ホテル営業
簡易宿所営業
住宅宿泊事業
宿泊料金の2%

 

宿泊税、熱海市、長崎市でも検討進む

年々増加する訪日外国人旅行者の需要拡大に伴い新たな観光財源を確保することを目的に、宿泊税を導入する動きが全国各地に広がっている。

検討会議を設置するなどし宿泊税の検討を行っている自治体では、北海道だけで札幌市、函館市、ニセコ町、美瑛町に広がる。また、長野県白馬村や静岡県熱海市、長崎県長崎市などでも宿泊税の検討が進んでいる。

一方で、宿泊税の具体的な使途が不明確であったり宿泊客の税負担の増加で競争力が低下する恐れがあるなど慎重な意見もあり、宿泊施設側の理解が得られるかが鍵となりそうだ。



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