民泊サイト最大手のAirbnbが、昨今ホテルチェーンの市場シェアを奪っており、ホテルの重要顧客であるロイヤリティプログラムを利用する会員も、Airbnbを利用し始めているとQuartzが伝えた。
モルガン・スタンレー・リサーチ(Morgan Stanley Research)のレポートによると、ロイヤリティプログラム会員は非会員と比べ、Airbnbを試そうとする傾向が見られた。非会員は15%しかAirbnbを利用したことが無いのに対して、ロイヤリティプログラムの会員は、36%がAirbnbを利用したことがあるという結果に。
ただこの結果では、流行りのAirbnbを試しに使ってみただけだと主張する業界関係者も多いだろう。ロイヤリティプログラムの会員は、継続的にホテルを利用することになるからだ。
しかし、レポートでは旅行の機会が多い人ほどこの傾向が顕著になることが明らかにしている。1年間に11回以上旅行をしているロイヤリティプログラム会員は、51%がAirbnbを利用したことがあるという結果に。ロイヤリティプログラムを利用せず1年に11回以上旅行をする人で、Airbnb利用経験がある人は27%だった。
これはホテルのロイヤリティプログラム会員が試しにAirbnbを使ってみたという類のものではなく、優良顧客であればあるほどAirbnbのプラットフォームを継続して利用し続けていることを示している。これは、Airbnbが旅行ビジネスを掌握し始めた新たな兆しとも言えるだろう。
Airbnbはその所在地や実際がホテルなどを比べるとわかりにくく実態が掴みにくい。しかし、このレポートの結果は、Airbnbがホテル業界にとっての脅威となっており、既存のホテル業界は新たなプランを考えなければならない時に来ているといえるだろう。
《関連サイト》
The failure of hotel loyalty programs to defend against Airbnb, quantified
Airbnbが旅行ビジネスに進出
Airbnb最大のイベントである「Airbnb Open」でCEOのブライアン・チェスキー氏は、今後は宿泊だけにとどまらず「旅のプラットフォーム」になることを明らかに。さらに本イベントではフライトの予約ができる「フライト(Flights)」も実装することを明らかにしている。
Airbnbといえば現状はホテル業界が競合に当たるが、今後はプライスライングループ(Priceline Group Inc.)やエクスペディア(Expedia Inc.)などのOTA(オンライン旅行会社)も競合になっていくことだろう。
日本でサービスを展開する「トラベルコ」及び「Travel.jp」は昨年12月にAirbnbとの提携を発表。この提携によりAirbnbの宿泊施設が検索できるようになった。日本国内ではAirbnbと提携する比較サイトも増える一方で、自社で民泊プラットフォームを立ち上げるサービスも出てきた。
トリップスターなどを手がける株式会社エボラブルアジアは、昨年12月にCtoCの民泊プラットフォームのサービスを開始することを発表。合法民泊のみの掲載ができる民泊マッチングサービスを立ち上げる。
人の暮らしと旅を変えつつあるAirbnbにより、旅行ビジネスは大きな変革のときを迎えようとしている。
「トラベルコ」でAirbnbの施設検索を行った画面