京都市が初めて公表した旅館業の客室数の推移によると、市内の簡易宿所客室数は6,134室だった2016年度から約3,000室増加し、2017年度は9,247室となったことが明らかになった。
これまでは旅館業の施設数を公表していた京都市であるが、2018年5月14日更新分から従来の施設数に加えて、客室数の公表も開始したことで初めて明らかになった。
民泊市場のリサーチ・調査を手掛けるメトロエンジン株式会社が提供する民泊ダッシュボードのメトロデータによると、京都市内の民泊物件数は4,797件だった2017年3月から約1,300件増加し2018年3月は6,106件にまで増えている。
京都市内で民泊の営業を行う場合、これまでのような旅館業法上の営業許可に加えて、6月15日からは住宅宿泊事業法の届出を行うことでも民泊営業ができるようになる。
しかし、全国的にも非常に厳しい上乗せ条例で民泊を制限する京都市では、1年365日のうち約60日間しか運営できずビジネスとして採算をあわせるのは厳しい。
5月9月の定例記者会見では住宅宿泊事業の届出申請がたったの5件にとどまっていることを明らかにしており、市内で民泊営業を検討している運営者は、住宅宿泊事業法ではなく旅館業法(簡易宿所営業)での許可取得に動いていることが明らかだ。
ホテルなど宿泊業界で「小規模化」に拍車
京都市が公表した旅館業許可施設数の推移で、簡易宿所客室数の急増に加えて明らかになったのは宿泊業全体の「小規模化」だ。
1施設あたりの客室数(総客室数/総施設数)でみると、1施設あたり29.13室だった2014年度に対して、2017年度は1施設あたり13.40室にまで宿泊業の小規模化が進んでいる。
小規模化が進んでいる要因として、最低客室要件がなく民泊としての許可が得られやすい簡易宿所が市内宿泊業全体に占める割合として高まっていることが挙げられる。
また改正旅館業法ではこれまでの「ホテル営業」と「旅館営業」の営業種別は「ホテル旅館・営業」へ統合されるとともに「ホテル:10室以上」、「旅館:5室以上」といった最低客室要件は緩和される。
昨今急成長していた民泊も一軒家や空き部屋の一室など小規模であることが多く、今後も宿泊業界の小規模化が進むことになりそうだ。