オンライン旅行プラットフォーム大手のAirbnb(エアービーアンドビー)は8月5日、ビジネス客向けに家具付きサービスアパートメントを展開するUrbandoorを買収したことを明らかにした。Airbnbによる買収は、2019年3月に買収したホテル直前予約サービス「Hotel Tonight」に続き21社目。
米国サンフランシスコを拠点とするUrbandoorは、2015年に設立されたばかりで2019年で創業4年目となる。長期出張や転勤など長期滞在を予定するビジネス客向けに家具付きなどのサービスアパートメントを提供するオンラインマーケットプレイスとして注目を集めていた。
エリック・エクルズ氏ら3名によって設立された同社のミッションは、一般的なホテルよりもアメニティなどの設備が充実したサービスアパートメントの取扱いに特化することだ。UrbandoorのサービスアパートメントにはワークスペースやWi-Fiを完備。キッチンや食器類も備え付けられている。
AirbnbがUrbandoorを買収した背景にあるのは、Airbnbが従来からサービス提供している法人向け出張マネジメントツール「Airbnb for work」の強化だ。
Airbnbのプロフェッショナルホスティング部門ゼネラルマネージャーのClara Liang氏は買収に関連して「Urbandoorが築いている物件オーナーや運営者との戦略的な関係は、旅行者に対しマジカルな体験をもたらすことに役立つだろう」と述べた。
今回の買収により、Urbandoorの従業員はAirbnbの一員になるとともに、将来的にはUrbandoorの長期滞在向けリスティングをAirbnbを通じて予約できるようにする考えだ。これにより、長期滞在ニーズを持つビジネス客はこれまで以上に滞在先の選択肢が広がるほか、マンションオーナーはビジネス客の獲得という恩恵を受けられる。
ビジネス部門の強化に注力するAirbnb
Airbnbは、物件オーナーの個人と旅行者をマッチングするプラットフォームを提供し、最近では宿泊の域を超えてアクティビティの提供やレストラン予約などのサービスを提供している。個人向けのイメージが強いAirbnbが、強化しているのが出張・ビジネス旅行市場だ。
Airbnbでは2014年から法人向け出張マネジメントツール「Airbnb for work」を提供しているが、今では50万社以上がAirbnb for Workを利用して出張の管理を行うまでに成長している。
2019年7月には、Airbnbのプラットフォーム上にて「出張」フィルター機能を公開し、Wi-Fiやキッチン、洗濯機などを完備するなどビジネス出張に適した物件だけをスムーズに比較できるようになっている。
新たな成長戦略としてビジネス・出張市場にも進出を続けるAirbnbは、ビジネス市場に特化してサービスアパートメントを提供してきたUrbandoorの買収によりその成長スピードを加速させることになりそうだ。
Airbnb、創業から11年間で21社を買収
Airbnbは2008年の創業から3年後の2011年に初めてドイツの民泊仲介サイト「Accoleo」を買収。2012年には5社を買収しており、創業から11年でこれまで買収した企業は「HotelTonight」を含めると21社目となる。
Airbnbは、ネット通販最大手のAmazon(アマゾン)幹部のデーブ・スティーブンソン(Dave Stephenson)氏を最高財務責任者(CFO)として迎え新規株式上場に向けて、買収を加速している。
最近では、2018年の年末にフランスの民泊運営代行サービス「Lucky Homes」を買収したほか、2019年3月にはホテル直前予約アプリのHotel Tonightを買収するなどしている。Urbandoorはこれらに続く買収となる。
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