全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は、中国・武漢市で新型コロナウイルスによる新型肺炎が猛威を振い日本国内でも 19 人が感染するなどの影響が出ていることを受けて、一部の中国国内への国際線運航便で3月 29 日までの一時運休及び減便を決定したことを明らかにした。

ANAは、新型肺炎に伴う国際航空券の特別対応の対象となった搭乗客に対して手数料無しでの払い戻しを受付。2020 年 4 月 20 日までの期間内で「1回のみ」搭乗日の変更も受け付ける。

JALも同様に、特別対応の対象となった搭乗客に対して手数料無しでの払い戻しを受付。北京線、上海線、広州線、大連線の対象便の搭乗客に対して手数料なしでの払い戻しに応じるほか 2020 年 4月 20 日までの期間内で1回のみ変更措置に対応する。

本特集では、新型コロナウイルスの感染拡大による観光業界への影響をまとめる。

 

新型コロナウイルスによるインバウンド市場の損失は6,000億円超に

りそなグループのシンクタンクであるりそな総合研究所は、検索結果新型コロナウイルスによる感染拡大によるインバウンド関連消費の損失額が全国で 6244 億円、関西( 2 府 4 県)で 1905 億円に達するとの試算を明らかにした。

同社によると、2003 年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)の状況を参考に、感染の拡大が 4 月ごろまで続くと予想。訪日客の減少は 2 ~ 5 月にかけて進むとした。訪日客減少の動きは、感染の中心である中国だけにとどまらず、アジア全体はもちろん、北米や欧州でも広がると想定。

SARS が流行した際も、感染は中国や台湾が中心であったが、訪日客の減少は世界的に影響が出た。SARS では特に訪日客が減少した月は、マイナス 34.2% と大きく減少した。新型コロナウイルスでは、中国が出国規制を行っているほか日本も入国規制を行っているため、50%以上の減少する見込み。

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東京、大阪、札幌など全国で「特別融資制度」が続々創設

新型コロナウイルスの影響で、客足や売上げ等の減少など経営に影響を受けている旅館業や飲食店営業などの中小企業を対象とした「特別融資制度」が大阪、京都、札幌など全国の自治体で続々と創設されている。

財務省は2月7日に、新型コロナウイルスの感染拡大で事業者の資金繰りに渋滞な支障が生じないよう、新型コロナウイルス感染拡大に伴う政策金融機関等への配慮要請の実施。

これを受けて日本政策金融公庫は、旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業の事業者を対象に融資制度「新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付」を創設した。融資限度額は旅館業の場合は、 3000 万円、それ以外の事業者は 1000 万円が上限。

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日本政策金融公庫の特別貸付

新型コロナウイルス感染症にかかる衛生環境激変特別貸付 融資制度の詳細

融資対象者新型コロナウイルス感染症の発生により、一時的な業況悪化から資金繰りに支障を来しており、
次のいずれにも該当する旅館業、飲食店営業及び喫茶店営業を営む方
(1)最近1ヵ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して10%以上減少しており、
かつ、今後も売上高の減少が見込まれること
(2)中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれること
融資期間等 7年以内(2年以内)
融資限度額別枠1,000万円(旅館業を営む方は、別枠3,000万円)
融資利率基準利率
取扱期間令和2年2月21日(金)から令和2年8月31日(月)まで

情報が変更になっている可能性があります。詳細は公式サイトをご覧ください。

 

 

【観光庁】宿泊事業者向けの特別相談窓口の設置

観光庁は1月 31 日から、中国からの団体旅行や個人向けパッケージ商品の販売が停止されたこと等により、外国人観光客減少等の経営環境の変化に直面している宿泊事業者等からの相談や要望にきめ細やかに対応するため、地方運輸局等内に特別相談窓口を設置している。

相談窓口では、 宿泊事業者等からの相談・要望に対応するほか、宿泊事業者等が活用可能な支援策の紹介、中小企業支援策や雇用調整助成金の活用を検討する宿泊事業者等に、経済産業局や都道府県労働局の窓口のご案内を行っている。

《観光庁》感染症等を起因とした外国人観光客の減少等、経営環境の変化に直面している宿泊事業者向けの特別相談窓口の設置について

 

台湾、日本への渡航に対して「注意」喚起

新型コロナウイルスによる感染が日本でも広がる中、台湾の中央流行疫情指揮中心(中央感染症指揮センター)は、2月 14 日付けで感染症渡航情報で日本への渡航警戒レベルを、1に引き上げたと発表した。

日本では最近、感染源不明の事案が発生しており,潜在的な市中感染の可能性があることから、即日で感染症渡航情報をレベル1の注意(Watch)とし、日本に渡航している台湾国民に対して一般的な予防措置を遵守するよう呼びかける。

日本政府観光局(JNTO)によると、2019 年の訪日客 3,188 万人のうち 489 万人が台湾からの訪日客が占め、959 万人の中国、558 万人の韓国の次に日本を訪れる旅行者が多い国だ。

中国ではすでに日本を含む海外への団体旅行を1月下旬から中止するなどしており、観光業界など多くの業界に影響が出ているが、今回の注意喚起により台湾からの訪日客が減少すれば、さらなる影響が出る可能性がある。

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新型肺炎、ホテルのフロントスタッフ「マスク着用」義務化続々

中国・武漢市で新型コロナウイルスによる新型肺炎が猛威を振い日本国内でもすでに 19 人で感染が確認されるなど影響が広がる中、ホテルスタッフへのマスク着用を義務化する宿泊施設が徐々に出始めている。

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