ホテルチェーン世界大手のマリオット・インターナショナルのアーン・ソレンソン最高経営責任者は、新型コロナウイルスのパンデミック下の宿泊状況について、控え目ながら希望のある展望を描き、旅行好きの消費者を引き付ける可能性のある新しいギフトカード戦略を発表した。
「現在の状況からの回復は、全ての地域で一律に発生する訳ではない。我々が望むより時間がかかる可能性もあり、若干これまでとは異なる方法で事業展開を行う必要がある。しかしこの危機を乗り越えるための必要な措置は講じているし、いずれ旅行需要は回復するだろう」とソレンソン氏は述べた。
先週末は複数のビーチが再開しており、予約は回復の兆候が見られる。カリフォルニア州サンタバーバラの Ritz-Carlton Bacara とサウスカロライナ州ヒルトンヘッドのホテルは、既存の予約で約 50% の稼働率に達している。
またソレンソン氏は電話会議による決算発表の場で、新しい割引ギフトカードのプロモーションを発表。マリオットの広報担当者によると、2020 年 5 月 17 日まで Marriott Bonvoy のギフトカードを20%オフで購入可能とするスペシャルセールを実施。
2020 年 5 月 18 日から 2020 年 7 月 1 日までは、2,000 ポイント以上の購入で、60%を増量するキャンペーンを実施。マリオットは現在の需要急減から顧客をホテルに呼び戻すために、ロイヤリティプログラムとギフトカード戦略を試しているようだ。
ソレンソン氏は投資家に対して、3 月の稼働率は低下したが 4 月は低い水準ながら安定しており、また中華圏は最低水準であった 2 月中旬の 10% から 30% の稼働率に回復した、と述べた。また、4 月は北米の 1 室当たりの収入が 90% 減少し稼働率もわずか 12% まで低下したが、5 月第 1 週の世界的な稼働率は 15% まで上昇している、とも述べた。
長期滞在型ホテルは都市部やリゾートホテルに比べ健闘
一方でクラリオンやクオリティー・インのようなホテルチェーンでは、極端に低い業界の稼働率に比べ健闘しているようだ。「4 月 12 日の週以降の平均宿泊率は 30% を超えている」とチョイスホテルズインターナショナルのパトリック・ペイシャス最高経営責任者は決算発表で述べた。
ペイシャス氏は、「当社の 410 の長期滞在型ホテルの 4 月の稼働率は 60% であった。当社の米国内ホテルの約 90% は郊外などにあるが、都市部やリゾートのホテルよりも需要は底高い。またレジャー旅行が滞在の約 3 分の 2 を占めており、当社はレジャー旅行者の関心を引くことができている」と述べている。
新型コロナウイルスのパンデミック対応により各国で外出制限が課されているが、5 月に入り徐々に制限の緩和がなされている。ホテル需要の回復も見込まれているが、画一的な回復は難しいようだ。今後どのような推移でホテル需要が回復するのか、という点が注目される。