京都市が公表した旅館業施設数の推移によると、2016年度の市内簡易宿所施設数は1,493件で、2015年度の総施設数(簡易宿所)696件から1年間で約2倍に増えたことが明らかになった。一方でホテルの総施設数は163(2015年度)から182(2016年度)へ微増、旅館は369(2015年度)から368と微減にとどまることから、簡易宿所の増加が目立つ。
京都市では、特区民泊の営業はできないため民泊の営業を行う場合、旅館業法の許可を取得しなければならない。京都で民泊を手がける会社によると、「訪日客の増加および民泊利用者の増加を受けて、簡易宿所が市内で急増している」との声も聞かれていたが、実際データの上でも簡易宿所を活用した宿泊施設が増えていることが明らかになった。
京都市は、北米の旅行雑誌「トラベル・アンド・レジャー誌」の読者アンケートで5年連続人気観光地ランキングベスト10に選出されたほか、「コンデ・ナスト・トラベラー誌」の人気都市ランキングでも世界第2位にランクインするなど注目度が高い。
日本全体に加えて京都市でも急増する訪日客を背景に、京都市の外国人宿泊客数は2年連続で300万人を突破するなど宿泊需要は急増しており今後も簡易宿所を中心とした宿泊施設は増える事は確実だ。
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無許可民泊への対策を強化する京都市
京都市によると、民泊に関する苦情や相談などを受け付ける「民泊通報・相談窓口」にこれまで1,901件の通報が寄せられ、延べ2,143回の現地調査を実施。うち300施設について営業を中止させる厳正な対応を行った。
2017年4月から各区役所の衛生部門を医療衛生センターに集約し、「民泊」対策に特化した専門チームを設置。さらに急増する無許可民泊への対策を強化するため、6月1日から営業者の特定ができなかった施設に対する外部調査会社による調査業務もスタートした。
無許可民泊に対して厳しい対策を行っている事で知られる京都市では、先行きが不透明な無許可民泊ではなく簡易宿所で中長期的な視点で宿泊ビジネスを行う事業者が増えてきたことを意味しているとも言えそうだ。
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