京都市観光協会によると、2020 年 4 月の京都 56 ホテルにおける客室稼働率は、前月の 30.3% からさらに、20 ポイント超下回る 5.8% に大幅下落したと発表した。新型コロナウイルス感染症による影響が本格化したことで、客室稼働率は 3 ヶ月連続で調査開始以来の最低値を更新した。
京都市内のホテル高稼働を下支えしていた外国人延べ宿泊客数は、前年同月比 99.7 %減と 2014 年の調査開始以来、過去最低。中国が前同 99.8% 減少したのを筆頭に、韓国、香港、台湾も9割を超える減少率を記録したほか欧米も減速し、外国人比率は 4.2% と未だかつてないレベルに達した。
本調査は、京都市内の主なホテルを対象に京都市観光協会が毎月公表しているもので、休業中で回答が難しい等の施設を除く 56 ホテル 11,830 室(2020 年 4 月現在)が対象となっている。
中国では、政府通達により 1 月 27 日から団体ツアー及び航空券とホテルのパッケージ商品の販売を禁止。2 月中旬には日本政府は、中華人民共和国の湖北省、浙江省、韓国の大邱広域市と隣接する慶尚北道に滞在歴がある外国人を対象に入国拒否を実施。
その後、日本政府は 3 月 9 日から中国、韓国全土からの日本人を含む入国者に対して、検疫所長が指定する場所に 2 週間待機するよう要請。4 月 3 日からは、中国や韓国全土からの入国を拒否。現在は入国拒否の範囲を大幅に拡大し、5 月 27 日以降は、111 カ国・地域が対象となっている。
この影響で政府観光局(JNTO)によると、2020 年 4 月の訪日外客人数は、前年同月比 99.9% 減となる 2,900 人と大幅減となっていた。インバウンドに支えられていた京都の宿泊業界も新型コロナウイルスの感染拡大により大ダメージを受けている。
京都市、ホテルや旅館などの宿泊施設数は過去最高を記録
新型コロナウイルス感染症の影響により、ホテルや旅館などの宿泊施設は苦戦を強いられているが、2020 年 4 月の京都市内宿泊施設数(旅館業許可施設)は、前年同月比 9% 増の 4,010 施設となり、過去最高の施設数を記録。
その一方で、客室数が 100 室以上のホテルを対象に京都観光協会が行った調査によると、京都市内で臨時休業したホテルは、ピークの 5 月20 日に 45% となった。
訪日外国人が大幅に減少し、ホテルの臨時休業が増加している一方で、宿泊施設の数は過去最高を記録するという異様な状態が続いている。東京五輪の開催を見越し、2年前に計画されていたホテルプロジェクトが続々とオープンしているためだ。
5 月 21 日には京都府における緊急事態宣言が解除され、観光施設や社寺、宿泊施設などが徐々に営業を再開しはじめた。6 月 19 日以降は、全国で都道府県を跨ぐ移動や旅行が解禁される予定で、宿泊需要が徐々に回復することが見込まれる。
新型コロナウイルスの感染拡大はまだ予断を許さない状態ではあるが、コロナ収束で先行する中国では「リベンジ旅行」という言葉が生まれるほどの急激な回復傾向が見られる異例もあり、観光需要の早期回に期待したい。