2018年6月施行の住宅宿泊事業法(民泊新法)に合わせ民泊施設の半径800m圏内に、苦情や不測の事態に備えた緊急時に対応する管理者らの駐在を求めることが明らかになった。
京都市は「京都市にふさわしい民泊の在り方検討会議」などの有識者会議を開くなど市民泊運営に係る京都市独自ルールの検討を行っていた。民泊施設から距離制限を定め、管理者を駐在させる民泊条例などの検討が明らかになったのは京都市が初めてとなる。
民泊施設の半径800m圏内に管理者の駐在を求める民泊の規制強化策は、施設周辺住民とのトラブルなどをスピーディーに対応することなどが目的。住民への不安解消や民泊利用者へ緊急対応をすることによって、安心・安全な宿泊の提供を促進させる。
京都市が検討を進める独自ルール案とは
京都市では800m圏内の管理者駐在に加えて、民泊新法施行後の市への届け出の際に、直近3カ月に無許可営業をしていないという誓約書の提出も求める。条例違反には最大50,000円の過料を科すことなどを盛り込み、2018年2月の市議会に提案する。
2020年東京五輪・パラリンピックを控え、訪日外国人の数は右肩上がりで急増。伏見稲荷大社や清水寺など世界的に人気の観光地を持つ京都市にも民泊に宿泊して観光を楽しむ旅行者が急増していた。
【京都市の民泊条例のまとめ】
用途地域が「住居専用地域」の場合、年間営業日数の上限は1~2月の60日程度
(町家は保全などの観点から特例で民泊新法の年間営業日数の上限となる180日まで認める)
2.苦情・緊急対応で施設から半径800m圏内に管理者らを駐在させるよう求める
3.分譲マンションなどでは管理組合が民泊を禁止していないことを示す書類の提出
4.民泊新法の届け出では直近3カ月で無許可営業をしていないという誓約書の提出
5.旅館業法の許可を得た民泊施設も同様の条例案の対象になる。
民泊新法施行を控え、民泊条例の制定に向けて京都市のように動き始める自治体も増えてきた。ただその多くは年間の営業日数の短縮と営業エリアを限定するものが多く、800m以内に管理者を求める京都市のような規制強化にまで至っていない。今後、京都市の民泊条例をモデルケースに規制を強化をする自治体が出てくる可能性もある。