京都市の有識者委員会が、導入を検討している宿泊税について市民へ意見を聞くパブリックコメントの結果、賛成意見が多数を占め反対意見が少数だったと京都新聞が同日報じた。市民の意見は、市内外の125人から337件が寄せられた。宿泊税の是非に関した意見は131件あり、49件が賛成で、反対などの否定的意見が10件に満たなかったという。
宿泊税とは、ホテルや旅館などに宿泊した場合に宿泊客に課税する自治体独自の地方税で、宿泊料金を支払う宿泊者からホテルや旅館の各宿泊施設が徴収し、一括して都道府県に納税する。
有識者委員会の答申案によると、昨今京都市内でも広がりをみせる民泊を含むすべての宿泊施設を対象とする。低価格帯の宿泊施設から高級ホテルも含め宿泊料金の金額を問わず利用者全てが対象になるが修学旅行生は免除する方針だ。パブリックコメントの結果を受けて有識者委員会は宿泊税を導入する原案の方向性を変更せず市民らの意見を取りまとめて、8月上旬に市へ答申を提出する。
昨今、京都市では観光客の増加で宿泊施設の不足、交通渋滞が発生するなど市民生活に影響が出ており市内の観光振興や渋滞対策などの財源を確保のため宿泊税の検討が進められていた。
幅広く宿泊税を徴収する京都市の宿泊税
宿泊税は、2002年10月に東京都が初めて導入。その後大阪府も「大阪が世界有数の国際都市として発展していくことを目指し、都市の魅力を高めるとともに観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため」として導入を決め、2017年1月から徴収を開始している。
税額の区分は1万~1万5,000円未満=税額100円、1万5,000円~2万円未満=同200円、2万以上=同300円(2万円以上は大阪府のみ)。なお大阪府は2017年7月から大阪市やほか一部の自治体で開始している特区民泊の宿泊施設についても全国で初めてとなる宿泊税の徴収をはじめていた。
京都市の宿泊税は東京都や大阪府のように一定金額以上の宿泊金額の場合にのみ徴収するだけではなくすべての利用者を対象とする方針でまた許可の取得状況にかかわらず民泊の施設も対象になる。京都市の宿泊税導入は、利用者にとって宿泊料金の値上げになるが、自治体としては年間で数十億規模の税収が確保できる魅力的な財源となりそうだ。