イギリスの首都ロンドンのAirbnbリスティング数が、市内におけるホテル客室数の約3分の1にまで増加したことがMail Onlineが伝えた最新の調査で明らかになった。
最新の調査は英国の会計事務所Moore Stephensが実施し、国内の主要都市でのホテルの予約状況に関するデータを基に分析した。これによれば、現在、ロンドンにおけるAirbnbリスティング数は6万4千件で、ホテル客室数の19万7,970室の3割以上を占めるまでに成長した。
こうしたAirbnbリスティング数の増加はロンドンだけに限らない。ホテル客室数に対するAirbnb物件割合を見ると、東南部に位置する海岸リゾートのブライトンで30%、西部の港町ブリストルで20%を占める。
さらに、ノーフォーク、マンチェスターの両都市がホテル客室数の16%を占め、リバプールとワイト島の13%、スカボローの12%が続いた。
Moore Stephens取締役のPeter Duffy氏は「良くも悪くもAirbnbが与える影響をしっかりと論じるには、より多くの統計が必要」と指摘しつつも「Airbnbやそのほかの小さなプラットフォームは、自宅を貸し出す人や観光客に大変な恩恵をもたらすことができる」とみている。
また、Airbnbの広報は「英国の旅行業界はこれまでになく好調で、Airbnbはその成長や旅行の多様化の一助を担っていると専門家も認めている。旅行者が旅先の一般民家に宿泊し、ホテル界隈以外のコミュニティを満喫することをAirbnbが可能にした。
昨年1年間だけで、6億5,700万ポンド(約965億円)が国内の一般家庭の副収入となり、英国経済を35億ポンド(約5,140億円)押し上げた」とコメント。
さらに「英国の典型的なホストは、1か月に3晩くらい自宅をシェアして年間3千ポンド(約44万円)を稼く」と話している。
年間90日のロンドンでは民泊物件が着実に成長
これまでロンドンでは1973年大ロンドン市法※1に基づき90日未満での民泊などの短期貸出は禁じされており、住宅を 90 日未満で短期貸出する場合は住宅から短期宿泊施設への建物の用途変更とみなされ、1990年都市計画法※2に基づき転用許可を得る必要があった。
しかしAirbnbでの民泊サービスの普及を受けて規制の実効性が薄れてきたことを受けて、2015年5月規制緩和に関する法律※3の施行により、民泊など短期貸出の宿泊日数が90日を超えない場合は転用許可を得ずに短期貸出が可能になった(貸切タイプの家主不在型を含む)。
ロンドンでは民泊の営業日数が年間90日となったことを受けて、Airbnbは年間90日以上の貸し出そうとするとカレンダーが自動的にブロックされる「営業日数制限」を導入。都市計画上の許可を得て免除申請を行わなければ自動的に貸し出しができなくなる仕組みを開始している(営業日数制限機能は日本では未導入)。
日本では6月15日から住宅宿泊事業法の施行により届出を行わなければ民泊の営業ができなくなり、Airbnbは大幅に民泊物件の掲載数を減らしたがこれから民泊サービスを拡大できるのか、日本で誕生した民泊新法の真価が問われることになる。
※1 the Greater London Council Act 1973 ※2 the Town and County Planning Act 1990 ※3 Deregulation Act 2015