観光庁はこのほど、12月14日時点の住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出件数と受理件数を公表し、民泊届出件数が12,858件(民泊受理件数:11,612件)に達したことを明らかにした。
同法施行の6月15日時点では民泊届出件数が3,728件、民泊受理件数が2,210件となっていたが、約6か月で届出件数は3.4倍、受理件数は5.3倍にまで増えている。
保健所設置市及び特別区を含む都道府県別の民泊届出件数では、4,547件(36%)の東京都が最多で次いで1,928件(15%)の北海道、3位に1,756件(14%)の大阪府が続いた。
民泊の届出件数は着実に増えてはいるものの、同法施行前に約56,000施設※あった民泊施設のうち約2割にあたる施設でしか届出が進んでいない。(※民泊市場のリサーチ・調査を手掛けるメトロエンジン株式会社が提供する民泊ダッシュボードのメトロデータによる)
住宅宿泊事業法では、1年間に民泊の営業できる日数が最大で180日までに制限される。180日の日数カウントは4月1日正午から翌年の4月1日正午までの期間が対象となる。しかし、2018年は6月15日に法が施行されたことから12月中旬で180日を超えた。
住宅宿泊事業法の届出を行った民泊は、4月1日正午までの約3か月間、民泊の営業を一切行うことができない。残りの期間についてはマンスリーマンションとして貸し出す等の方法があるが、収益が見込めるかは未知数だ。
住宅宿泊事業法「民泊」の廃業が増加 さらに増える恐れも
民泊の届出申請数の伸び率は徐々に陰りが見えてきている。2018年9月と10月の前月比伸び率はそれぞれ16%となっていたが、11月は(同)伸び率を11%まで落とした。
直近の伸び率を考慮すると、2018年12月末時点の届け出件数は13,500件程度となる見込み。180日を超えた場合1-3月は、民泊の営業ができない上に1-2月は宿泊業界の閑散期にあたる。住宅宿泊事業法上の民泊届出数の伸び率はさらに鈍化する可能性がある。
さらに気になるのは、民泊の「廃業」が増加している点だ。観光庁は、11月16日分から住宅宿泊事業法の「民泊」の廃止済件数を公表しているが、11月16日時点で196件だった廃業数は、12月14日時点では287件にまで増えている。
1-3月は、住宅宿泊事業上の民泊にとって「正念場」となるが、このシーズンを乗り越えられるかがカギとなりそうだ。