民泊新法は、民泊の解禁ではなく「民泊を締め出す」法律だった? 絶望的な状況が明らかに

全国的に民泊を解禁する民泊新法(住宅宿泊事業法)が6月15日に施行日を迎え、住宅宿泊事業法の届出件数や受理件数が徐々に明るみになってきた。その中で明らかになってきたのは届出民泊の悲惨な惨状だ。

各自治体のホームページに公表されている届出住宅(受理件数)を基に6月15日時点の状況をみると、千代田区の届出住宅はたったの1件、江東区は3件、大田区は6件など壊滅的な状況に陥っていることがわかる。

これらの受理件数は、どこかの地方都市の数値ではない。いずれも3万世帯で人口6万人の千代田区、26万世帯で人口51万人の江東区、26万世帯で人口51万人の大田区など大都市での数値だ。(※平成30年6月1日現在での世帯数及び人口)

自治体ごとに公表されている届出住宅一覧を基にAirstairが行った独自調査で明らかになったのは、民泊の解禁ではなく「民泊の締め出し」といっても過言ではない状況だ。

民泊新法は、2020年の東京オリンピックに向けて訪日外国人がさらに増加することが確実視される中、新しい宿泊サービスとして利用者が拡大していた民泊サービスの利用を促進し国民生活の安定向上及び国民経済の発展に寄与することを目的としてできた法律だ。

しかし、法施行で明らかになったのは民泊の解禁とは程遠くただ単に「民泊が締め出された」法律であったということだ。

 

東京23区の民泊受理状況

届出住宅の届出番号や住所などは各自治体が用意している住宅宿泊事業法の専用ページで確認できる。これらの公式情報をもとにAirstairが独自に調査したところ、民泊の人気都市として世界から注目を集めていたはずの東京の惨状だ。

東京23区で受理件数が多いのは新宿区で53件、次いで世田谷区の57件、渋谷区の50件が続く。メトロデータ※によると、民泊の一斉削除前には新宿区には約4,600件、世田谷区には約700件、渋谷区には約2,300件の民泊が存在していた。

※民泊市場のリサーチ・調査を手掛けるメトロエンジン株式会社の民泊ダッシュボード提供データ

年間180日という最大営業日数に加えて、自治体によっては営業日数がさらに短縮される例もあるなど、民泊の届出を行うメリットがほとんどないことが、民泊を取り巻く状況を厳しくしている。

《関連記事》民泊新法 東京23区 届出受理件数まとめ 住宅宿泊事業の住所、届出番号一覧

 

▼東京23区 民泊新法届出受理状況(2018年6月15日時点※一部自治体で異なる)

6月18日時点で自治体ごとに公表されている届出住宅一覧をもとにAirstairが作成。一部記載のない自治体あり

 

東京オリンピックに大きな影響を与える恐れも

民泊仲介サイト世界最大手のAirbnb(エアービーアンドビー)によると、2018年2月時点で日本全国に62,000件の民泊を掲載していたほか、2017年にAirbnbを国内で利用したインバウンドゲスト数は600万人を突破。

観光庁が訪日外国人旅行者の民泊利用を調査したところ、12.4%が民泊を利用していたとのデータ(2017年7-9月期の)が明らかになるなど、日本での民泊利用者は着実に伸びていたことは明らかだ。

東京オリンピックを控え、不足する宿泊施設の補う存在として期待されていた民泊であるが、民泊を解禁し促進を図るはずの民泊新法の施行が原因で、民泊は急ブレーキを踏むことになった。

 



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