届出で民泊を全国的に解禁する「民泊新法(住宅宿泊事業法)」の施行から9カ月ー。6月に民泊の営業を開始した届出住宅は昨年末に年間の営業日数を超えたが、大阪市では「特区民泊」への切り替えが増えていることがわかった。
大阪市で民泊を行う場合、大まかに分類すると旅館業法の許可取得、特区民泊の認定、住宅宿泊事業法の届出のうちいずれかを行う必要がある。
住宅宿泊事業法については、施行時に民泊を解禁する法律として注目を集めたが、昨年末に年間の営業日数(180日)を迎えたことで、1年365日民泊の営業ができる特区民泊へ切り替える動きが相次いでいる。
大阪市環境衛生監視課の担当者によると「具体的な件数はわからないものの、住宅宿泊事業から特区民泊への切り替えは増えている」と述べた。
不動産コンサルタントの西崎 洋一氏は、「特区民泊への切り替えの受託量が昨年年末から増えている」とし、昨年末から特区民泊への切り替え数は増加傾向にあるようだ。
大阪市では、特区民泊以外にも旅館業法の許可を取得することで営業することができるが、旅館業より特区民泊への切り替えが多い。
その理由について、民泊許可.comを運営する特定行政書士の戸川 大冊氏は「旅館業は、特区民泊に比べると、相対的にはハードルが相当高い。小規模宿泊施設を開業する場合に、日数制限のない営業形態である特区民泊と旅館業を比較して、旅館業を選択するメリットは全くない」と述べた。
大阪市では、住宅宿泊事業を抑えて特区民泊に人気が集中
2019年1月末現在、大阪市の特区民泊(認定居室数)は5,609室にまで拡大し、住宅宿泊事業の届出住宅は、1,596室となった。客室数では住宅宿泊事業の届出住宅が少ないが、特区民泊は、2016年10月から事業者受付を開始していることから、客室数で特区民泊が多いのは当然だ※。
しかし、特区民泊は、事業者受付開始後2年以上経つにもかかわらず、対前月比10%の伸び(2019年1月時点)を継続しており、2018年6月から12月までの半年間に特区民泊の認定居室数は、2,618室から5,609室まで増加している。
住宅宿泊事業にある「年間180日」という営業日数上限もなく、旅館業に比べるとハードルが低い「特区民泊」は、大阪市では今後も人気を博すことになりそうだ。
※本記事では、便宜的に特区民泊の認定居室数と住宅宿泊事業の届出住宅数を比較したが、1年間365日の営業ができる特区民泊に対して、届出住宅は180日の営業日数となるため、届出住宅の1室とは実質的に0.5室を意味しているにも注意が必要だ。