これまでの賃貸市場では、敷金や礼金、仲介手数料を支払い賃貸借契約を結ぶのが一般的でしたが、敷金、礼金、仲介手数料なしでスマホから即入居を可能にする賃貸サービス「OYO LIFE」(オヨライフ)が今注目を集めている。
「OYO」は、インド国内350都市で10万以上の客室を展開。中国でも171都市、8.7万以上の客室を展開するなど急成長しているホテルベンチャー。ソフトバンクビジョンファンドもこれまで100億円以上も投資しており、注目されている。
OYOは、創業の地のインドに限らず中国や、マレーシア、ネパール、イギリスでもホテル事業を展開するなど海外市場を強化。その文脈で日本にも参入し現在は賃貸サービスの「OYO LIFE」とホテルチェーンを日本で展開している。
今回は、これまでの不動産賃貸業界の常識にとらわれない新しい賃貸サービスの開発を手掛ける「OYO LIFE」にフォーカスしてサービスの中身を徹底解説していく。
目次
OYO LIFE(オヨライフ)とは
OYO LIFEは、スマートフォンで物件探しから支払いの手続き、入居・退去までを一気通貫で完結できる新しい賃貸サービス。賃貸市場でこれまで一般的だった敷金、礼金、仲介手数料などを無料にするほか、水道光熱費もすべて賃料に含まれているのがこのサービスの特徴だ。
『旅するように暮らす』をコンセプトに、日本では OYO TECHNOLOGY&HOSPITALITY JAPAN株式会社が 2019年3月からサービスを開始している。
同社の親会社は OYO Hotels & Homes(オヨ・ホテルズ&ホームズ)で 2013 年の創業からわずか6年でマリオット・インターナショナルに次ぐ客室数を誇るホテルチェーン世界2位の座にまで上り詰めたインド発のユニコーン企業。
2019 年2月にヤフー株式会社と共同で「OYO TECHNOLOGY & HOSPITALITY JAPAN」(オヨ テクノロジー・アンド・ホスピタリティ・ジャパン)を設立。日本の賃貸住宅事業に参入した。ただ 2019 年 11 月にZホールディングス(ヤフー株式会社)は提携解消を行い現在は、OYO グループの 100% 子会社となっている。
OYO LIFEで賃貸契約する4つのメリット
メリット1:敷金・礼金・仲介手数料ゼロで暮らせる
これまでの一般的な賃貸では、賃貸契約の際に、家賃の1か月分の敷金や礼金、仲介手数料が発生することがほとんど。また新生活ともなれば、これらの初期費用に加えて、Wi-Fiの費用や水道光熱費などの費用もかかる。
OYO LIFE は、従来の賃貸契約で一般的に行われていた敷金や礼金、仲介手数料をすべて無料で、Wi-Fiの費用や水道光熱費、火災保険、保証手数料も家賃に組み込まれた状態になっているのが特徴※だ。(※予約手数料、および清掃費は別途かかります。)
Wi-Fi や水道光熱費については、引っ越しの度に水道局や電力会社、ガス会社などに引っ越し手続きの連絡を事前に行う必要があるが、このような面倒が手続きが発生しないという点も OYO LIFE のメリットと言える。
メリット2:家電・家具付きの部屋
OYO LIFE では、ベッド、洗濯機、電子レンジ、冷蔵庫、掃除機など生活に必要な家具や家電などは一通り、部屋にセットされてある。家具や家電だけではなく、バスタオル、フェイスタオル、バスマット、ゴミ箱、ハンガーなどもセットされているのが特徴だ。
初めて新生活を始める場合、これらの家電、家具を一式揃える必要があり、これらをすべて一度に購入しようとすると、数十万円単位の出費にもなってしまう。OYO LIFE では、家具・家電付きの部屋であれば、原則として家具、家電などが備え付けられてるので、すぐに入居も可能だ。
なお、テレビ、ドライヤー、鍋類は物件により異なるため、詳細の設置家具や家電については、各物件ごとの詳細ページをご覧ください。
すでに、通常賃貸に住んでいて、ご自身の家具や家電をお持ちの場合も心配不要。OYO LIFE では家具なしの部屋で Wi-Fi だけが設置された部屋の提供も行われている。
メリット3:スマートフォンで契約から退去が可能
これまでの賃貸契約では、不動産屋に赴き内見をして契約手続きを行うのが一般的で、何度も不動産屋に足を運ぶことも少なくありませんでした。
一方で OYO LIFE の場合は、OYO LIFEのウェブサイトにて住みたい物件を見つけたら、ホテルを予約するように「入居予定」を選択して「予約」ボタンをクリック。本人確認書類を提出するだけで予約が完了するのが特徴だ。
その後、OYO LIFE 側で本人確認書類の確認及び審査を行い、支払いを行うだけで契約締結となる。万が一、事前に内見を行いたい場合は、OYO LIFE のウェブサイトから内見予約の申し込みを行うことができる。
OYO LIFE を利用することで、これまでよりも賃貸手続きが簡単になるほか、退去の連絡もスマートフォンからできる。
「ホテルのように部屋を選ぶだけ」不動産業界の革命児
日本で賃貸として部屋を借りる場合は、賃貸情報サイトで物件を探し不動産屋を訪れ、保証人を立て、様々な書類にサインし、敷金や礼金を払うなどの複雑な手続きを行わなければならない。
「ホテルのように部屋を選ぶだけ」を掲げる「OYO LIFE」は、入居から退去までスマホひとつでできる、これまでにない新しい賃貸サービスだ。敷金・礼金・仲介手数料はゼロで即入居が可能となるため、 初期費用を抑えることができる※。(※入居前の清掃費のみ発生)
また、各部屋ごとに家具家電とWi-Fiが完備されているため、引っ越しの手間を大幅に減らすことができるのが特徴だ。水道光熱費といった公共サービスも家賃に含まれているため、開通手続きも不要だ。
また、解約の際にもこれまでの賃貸契約で一般的な書面での解約通知も不要で、OYO LIFEでは、スマホから退去を申請できる。
OYO LIFEには3つの部屋タイプがあり、マンションタイプ(10万〜15万円)、戸建タイプ( 25万〜45万円 )、シェアハウスタイプ( 4万〜6万円)から希望の部屋タイプを選択できる。
OYO LIFE は、東京 23 区を中心にサービス提供しているが、横浜、川崎、立川、八王子などでも利用できる。 サービス開始から1年足らずだが 2020 年 1 月末時点で、駅から平均徒歩7分の物件を 7,000 室以上提供しており、4,000人以上のユーザーが利用するまでに拡大している。
資本力と技術力で、日本の賃貸市場に革命を起こす可能性も
「OYO」は、2013年にインドで創業したホテルベンチャーではあるが、世界最大ホテルチェーンのマリオット・インターナショナル(MAR)の客室数を狙えるほどの急成長を遂げている。
マリオット・インターナショナルは、2018年末時点で130カ国・地域に6,900軒のホテルを展開し、客室数は130万室以上する世界最大のホテルチェーンだ。
OYOは世界全体で46万室ほどの客室数であり、マリオットの客室数を抜くのはまだ先ではあるものの、その成長率は驚異的だ。2016年時点で、年間600万件程度だった予約数は、2018年の年末には7,500万件にまで拡大した。
驚異的な成長率を誇るOYOは、SlackやWeworkなどにも投資するソフトバンクビジョンファンドや、スマホ配車サービスのGrab(グラブ)などからも資金調達を行い、評価額は5,000億円を超えるユニコーンとなった。
その資金力もさることながら、注目すべきはその高い技術力にもある。OYOの従業員約8500人のうちデータサイエンティスト、人工知能(AI)などのIT技術者が700人超を占める。
OYOがこれまで進出した地域の宿泊需給データは、AIで常時分析。すべての空室の料金を常時変動させ、地域内での需給のミスマッチを最小化し、その地域内のホテル全体の稼働率を最大化させせる戦略を取る。
また、経理、予約、清掃管理などホテル運営に必要な機能をスマートフォンアプリとして提供し、ホテルオーナーがスマホ1台で経営できる環境を作っているのも特徴だ。
OYOがここまで急成長を遂げている理由の一つには、単にホテルを運営しているだけではなく、予約サイト、ホテルオーナー向けの管理者ツール(PMS)の開発に至るまでそのすべてを自社で行っているという点にある。
OYO Home Japanでは、すでに物件オーナーに対して、ホテルや住宅の管理サービスの提供を開始しており、不動産オーナーがスマホアプリで部屋の収支や空室率などを確認できるような新しい世界観がすぐそこにまできた。