一流の高級ホテル・旅館の宿泊予約サイト「Relux(リラックス)」を運営する株式会社Loco Partnersは9月に、民泊仲介サイト世界最大手のAirbnb(エアービーアンドビー)と日本国内における旅館の予約業務の提携に合意したと発表した。
Reluxは「住宅宿泊事業法案」(民泊新法)が可決・成立した6月に民泊プラットフォーム事業へ参入することも発表している。
民泊プラットフォーム事業やAirbnbとの提携など民泊に対する取り組みについて、「Relux」を運営する株式会社Loco Partners 河村氏に話を聞いた。
民泊への取り組みを強化するRelux
Reluxは、一流の高級ホテル・旅館を厳選して掲載する会員制の宿泊予約サイト。全国のホテル・旅館に精通した審査委員会のメンバーが厳選した施設のみを掲載しているのが特徴だ。
そんな高級ホテル・旅館特化のReluxが2017年から強化しているのが民泊事業だ。1月に中国の民泊仲介サイト最大手の途家(Tujia)と提携を発表。2017年6月には新法施行後に民泊プラットフォームの提供を開始することを発表していた。
Reluxは、掲載にあたり独自の審査基準を設け満足度の高い宿泊体験を提供できる厳選した宿泊施設のみを掲載しているが、今後開始予定の民泊プラットフォームにおいても「同様に審査基準を設け、引き続き満足度の高い宿泊体験を提供していく」という。
掲載できる民泊施設はホテル・旅館営業のライセンスを持っている施設はもちろんのこと、特区民泊や新法民泊でも対象となる。
高級旅館のReluxと民泊のAirbnb、提携の詳細とは
Airbnbとの提携によりReluxに掲載しているホテルや旅館は希望すればAirbnbに掲載して訪日客を中心とした旅行者を呼び込むことができるようになる。ホテル、旅館にとっては訪日客を中心にしたインバウンドを強化できる点がメリットだ。
Reluxは、これまでも航空券など比較検索サービスを提供する「Skyscanner(スカイスキャナー)」や、旅行クチコミサイト「TripAdvisor(トリップアドバイザー)」、中国最大オンライン旅行会社「Ctrip(シートリップ)」などと提携を進めており、Airbnbとの提携は流入経路を増やすための施策の一つだという。
Airbnbは、ラグジュアリーな別荘など富裕層向けのバケーションレンタルを展開するLuxury Retreats(カナダ・モントリオール)を買収するなど高級物件を強化している。高級ホテルや旅館に特化しているReluxとAirbnbの提携は両社にとっても、ホテル・旅館にとってもうれしい取り組みとなりそうだ。
本提携では、Reluxに掲載されているホテルや旅館が自動的にAirbnbに掲載されるようになるわけではなく、オプトインをとる形になるため希望する旅館やホテルしか掲載されない。
河村氏によるとホテルや旅館に対して実際の本取り組みについて説明をすると「非常に良い反応が得られている」と語る。
民泊市場に対する今後の見通し
来年6月に住宅宿泊事業法が施行されることになるが、今後の民泊について「民泊の市場規模はさらに大きくなる」と河村氏は予想。
これについては旅館・ホテル市場での減少分が民泊に移行することで市場規模が広がるといったものではなく、「民泊市場の拡大によってホテルや旅館、民泊を含めた宿泊市場全体が拡大する」と見通す。
Reluxが民泊市場に参入することについて「旅行したいと思ったときの選択肢を増やしたい」と意気込みを語った。