ホテルや旅館などの宿泊業界でごく一般的に利用されている「サイトコントローラー」。民泊仲介サイトのAirbnb(エアービーアンドビー)などの急速な普及とともに、最近ではこのような民泊仲介サイトと連携を行うサイトコントローラーも増えてきました。
ここでは、サイトコントローラーの仕組みや機能からホテルや旅館、民泊などの宿泊施設に対応しているサイトコントローラー5つを厳選してご紹介していきます。
目次
サイトコントローラーとは
サイトコントローラーとは、複数ある日本国内、海外のオンライン宿泊予約サイトとホテル・旅館のホームページ予約システムを一元的に管理することができる宿泊施設向け管理ツールのことを言います。
ホテルや旅館などの宿泊施設は、宿泊予約を増やすためにいかに多くの人にアプローチを行うことができるかが大切です。自社のホームページ経由での宿泊予約数を増やすには様々なマーケティング活動を行い認知させなければなりません。
しかし、すでに多数の利用者を抱えるオンライン宿泊予約サイトに自社ホテルの掲載を行うと、多くの宿泊客を獲得できるメリットがあります。さらに複数のオンライン宿泊予約サイトに掲載を行えばその分、露出を高めて予約客を増やすことができるのです。
しかし、複数の宿泊予約サイトに掲載をすると、1つの部屋に対して複数の予約サイトから予約が同時に入りダブルブッキングしてしまう可能性があります。
客室の在庫管理を行うことでダブルブッキングを防ぐともに複数の予約サイトでのアプローチを可能にしたのがサイトコントローラーです。海外ではチャネルマネージャーとも呼ばれ管理する客室数が多ければ多いほど導入が必須になってきます。
サイトコントローラーの機能と仕組み
サイトコントローラーでは、ダブルブッキングを防ぐ在庫管理機能だけではなく、日ごとの在庫調整や特定サイトのみの売り止め、宿泊客の予約情報の確認やPMS(ホテルシステム)との連携など様々な機能があります。
PMSとは Property Management System の略で宿泊客の部屋割りや、清掃・空室の管理、客室全体の売上に加えて、宴会場の管理など客室管理や周辺業務をサポートするシステムを意味します。
特にホテルや旅館などの導入施設が多いサイトコントローラーとしては、株式会社シーナッツが展開する「TL-リンカーン」、楽天グループ傘下の株式会社クリップスが展開する「ねっぱん!」、手間いらず株式会社が提供する「TEMAIRAZU」があります。
「ねっぱん!」と「TEMAIRAZU」もAirbnbとの連携をしていますが、オーバーブッキングを防ぐ在庫連携のみにとどまる一方で、民泊ダッシュボードはチャット機能やAIが推定する価格エンジンを搭載するなど民泊に特化したサイトコントローラーとなっています。
サービス名 | 企業名 | 概要 |
株式会社ウィンズ | 最低3,300円から利用可能なサイトコントローラー&PMS | |
ONDA wave | PMS(予約管理システム)とチャネルマネージャーの機能が一体なった宿泊管理システム | |
株式会社シーナッツ | リクルート系サイトコントローラーでリアルエージェントに多数対応 | |
株式会社クリップス | 初期費用、月額利用料無料で利用可能 | |
手間いらず株式会社 | 海外の宿泊予約サービスに多数対応でインバウンド集客に強い | |
メトロエンジン株式会社 | Airbnbから海外の主要宿泊予約サイトを網羅 |
株式会社ウィンズ「beds24」
「Beds24」とは、2009 年にサービスを開始したサイトコントローラー&PMSです。世界の約 14,000 施設(2020年3月末現在)、日本国内では約 2,700 施設で導入されています。
Beds24 は、AI の機能を持つアプリとの提携を通じ多様な機能を提供中です。具体的には、ダイナミックプライシング、不正クレジットカード利用の防止、チャットボット等。多彩な AI の機能により、宿泊業界の単純作業を自動化し、「人にしか出来ないおもてなしの仕事」を増やせる環境を目指しています。
価格は最低 3,300 円から、10 部屋ほどの宿泊施設では 6,000 円ほどの月額使用料で利用することができます。
株式会社シーナッツ「TL-リンカーン」
株式会社リクルートと、株式会社ジェイティービーが株主として入っている株式会社シーナッツが提供。ホテルや旅館など約4,000施設で導入されている国内大手サイトコントローラーの一つ。
同一画面で旅行会社とネット販売、それぞれの残室数・販売室数を表示でき販売状況を網羅的に把握でき、自動売止設定などの細かい調整を行うことで、オーバーブッキングを最小限にとどめて販売機会を最大化できます。
また予約の確定と在庫の引き落としを同時に行う「共通在庫サービス」にも対応しており、販売先が増えるほどダブルブッキングの可能性がある従来の方式に比べて発生率を最小限に食い止めることができるほか、プラン作成の作業効率化が可能となっています。
株式会社クリップス「ねっぱん!」
2012年から楽天グループの一員となっている株式会社クリップスが提供するサイトコントローラー。ホテルや旅館向けに初期費用、月額利用料無料で「ねっぱん!」を提供していることから急速に導入施設を増やしており2018年12月現在約8,400施設で導入されている。
民泊仲介サイトとの連携を加速しており、楽天グループの民泊仲介サイトVacation STAYやAirbnbなどの接続にも対応している。
手間いらず株式会社「TEMAIRAZU」
手間いらず株式会社が提供するサイトコントローラー。一画面で在庫状況や料金を把握しながら各宿泊予約サイトの在庫数を調整できます。
在庫状況に応じた価格の自動調整もでき、直近の日程で在庫が多ければ値下げしたり、売れ行きがよく在庫が少なくなっている場合に値上げするなど、事前に設定した料金調整ルールを適用することで販売価格を自動調整することもできます。
また直近の在庫数の増減に応じて、稼働状況が通常よりも高い日や、チェックイン間近になったタイミングで、手数料の高い宿泊予約サイトの販売を一時停止し、自社のみへの販売となるよう自動調整することもできます。
民泊・ホテルに対応新しいサイトコントローラも登場
昨今、個人の空き部屋を旅行者に貸し出す民泊サービスの急速な普及に伴い、民泊仲介サイトのAirbnbが全世界500万室の宿泊施設を掲載するなど急速に存在感を増してきています。
日本においては届出を行うことで民泊の営業を可能にする住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行され、従来のホテルや旅館との提携加速しています。
民泊仲介サイトのAirbnbでは、これまでの宿泊予約サイトとは異なる点として宿泊施設と宿泊客が双方に評価しあう点や事前にチャットで複数のやり取りが発生する点などが挙げられます。
メトロエンジン株式会社が提供するサイトコントローラーの「民泊ダッシュボード」では、オーバーブッキングを防ぐ在庫管理機能だけではなく、テレビ電話を通じたセルフチェックイン機能、AIによる客室単価の自動設定、清掃管理や手配機能などのサービスを提供。
これまでのサイトコントローラーとは異なり、住宅宿泊事業法など新しい法規制にも対応したPMS機能も利用できる点が強みとして挙げられます。
宿泊予約管理を支援するプラットフォーム「ONDA wave」
「ONDA wave(オンダウェーブ)」は、株式会社 S&G Corporation が提供する中小宿泊事業者向けの宿泊管理を支援する宿泊予約管理プラットフォームです。
PMS(予約管理システム)とチャネルマネージャーの機能などが全て一体tのあっており、予約管理、売上管理、顧客管理、空室・料金管理などの管理機能がオールインワンで管理できるのが特徴です。
搭載されている機能は具体的には、PMS(予約管理システム)とチャネルマネージャー、総合販売代行の Distributor、自社予約エンジンの Booking Engine、端末機不要の決済システム ONDA Pay※1、セルフチェックインシステムです。
新型コロナウイルスの感染拡大に伴う外出自粛や移動制限等により厳しい状態にある宿泊事業者の支援を目的として、「ONDA wave」は 2020 年 12 月 31 日まで無料で提供しています。