内閣府地方創生推進事務局によると、特区民泊の居室件数(申請件数ベース)が2019年7月末時点で過去最高の9,702件になったことが明らかになった。
特区民泊とは、国家戦略特区において宿泊施設を賃貸借契約に基づき一定期間使用させ、滞在に必要なサービスを提供する事業として都道府県知事の認定を受けた場合、旅館業法の適用を除外するという取り組み。
特区民泊は、全国で初めて2016年1月29日に東京都大田区でスタート。2016年4月には大阪府の一部、2016年10月には大阪市でも開始。その他にも北九州市や千葉市、新潟市でも開始している。
徐々に対応エリアは広がっているが、人気エリアの偏りは大きく、全体の特区民泊のうち、約9割の9,055件は大阪市に集中。2番目は東京都大田区であるが、その数は611件。その他のエリアに至っては一桁台の申請数が目立つ。
大阪市の特区民泊は、2016年の事業者受付開始から3年近く経ち9千件を上回るまでに拡大したが、増加スピードが衰える気配はない。大阪市の特区民泊は、2019年1月時点で約6,300件であったが7月時点で約9,000件になっている。このまま増加ペースを維持した場合、大阪市の特区民泊は2019年9月に1万件の大台に達する見込みだ。
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住宅宿泊事業も加えると民泊総数は、2万5千件超
観光庁が公表した2019年8月15日時点の住宅宿泊事業法(民泊新法)に基づく届出及び登録の状況一覧によると、届出件数は19,436件、うち事業廃止件数を除いた住宅届出数は、18,111件となり過去最高となった。
住宅宿泊事業の届出住宅数と特区民泊の認定居室数を加えた民泊総数は27,209件となり、いずれも過去最高となっている。特区民泊は、国家戦略特区のうち民泊条例を制定した自治体でのみ営業ができる一方で、住宅宿泊事業は原則として全国で営業できることから後者のほうが数は多い。
都道府県別の住宅宿泊事業数では、全体の34%(6,135件)を東京都を占め、次いで15%(2,807件)の大阪府、14%(2,529件)の北海道が続いた。物件数の多い都道府県では特区民泊とは異なり、東京都や大阪府、北海道がトップ3となっている。東京23区でみると、最多は1180件の新宿区、2位は832件の豊島区、3位は677件の渋谷区が続く。
住宅宿泊事業の届出件数は、毎月増えているがそれとともに増加しているのが事業廃止済件数だ。8月15日時点の廃止件数は、全国で1,325件となっている。観光庁が行った調査によると、住宅宿泊事業を廃止した最大の要因は、「旅館業または特区民泊への転用」だ。
例えば大阪で民泊の営業を行う場合、住宅宿泊事業法と特区民泊の認可、旅館業法の許可を取得するという選択肢の中からいずれかを選択できる(※一部地域によって異なる場合がある)。
特区民泊や旅館業の許可が下りるまで、一時的に住宅宿泊事業での民泊営業を行い、旅館業法や特区民泊の許認可が取れ次第、住宅宿泊事業を廃止する動きが増えているようだ。