合法的に民泊を運営するための3つの方法

個人宅の空き部屋に旅行者を泊める「民泊」に注目が集まっている。日本にはすでに3万件以上の民泊物件があり多くの旅行者がAirbnbなどの民泊サイトを通じて宿泊している状況だ。

しかし厚生労働省が公開している「民泊サービスと旅館業法に関するQ&A」でお知らせされている通り、個人宅の空き部屋に旅行者を泊める民泊であっても「宿泊料を受けて人を宿泊させる営業」に当たる場合には、旅館業法上の許可が必要だ。

なお、東京都大田区と大阪府の一部の自治体では民泊条例が施行されていることから、特区民泊の認定を受けることで旅館業法の適用除外を受けることも可能だ。

さらに2016年の年末以降には民泊新法が制定される予定で、民泊を合法的に行うための方法はさらに1つ増えることになる。今回は、合法的に民泊を行うための3つの方法と手順をご説明する。

 

民泊とは

民泊とは、端的に言えば「民家に宿泊すること」。ホテルや旅館といった宿泊施設ではなく、個人の自宅やマンションの一室などに宿泊することを指す。

訪日外国人旅行者の数は前年比20%増のペースで増加しており、2020年の東京オリンピックまでは引き続き増えることが予想されるため、政府は旅館業法の規制緩和と新しい法制度(民泊新法)の枠組みつくりを行っている。

 

大半が旅館業法の無許可営業

個人宅の空き部屋に旅行者を泊める民泊であっても、寝具を提供し宿泊料を受けて人を宿泊させる営業の場合は、旅館業法上の許可が必要だ。旅館業を営む場合、旅館行法施行令で定める構造設備基準、都道府県の条例で定める衛生基準に従い、都道府県知事(保健所設置市または特別区にあっては、市長又は区長)の許可を得る必要がある。

民泊サイト最大手のAirbnbには3万件を超える民泊施設が公開されているが、その大半が旅館業法の必要な許可を得ずに営業されていると言われている。最近では近隣住民などから保健所への問い合わせも増えており、保健所の指導が入った段階で撤退するホストも相次いでいる。

 

JASDAQ上場企業が摘発され民泊撤退

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2016年7月、個人宅の空き部屋に旅行者を泊める「民泊」を旅館業法の許可を取得せずに営業したとして、旅館業法違反の疑いで「ハイブリッド・ファシリティーズ」(東京都港区)と親会社「ピクセルカンパニーズ」(同)の2社と、両社の役員ら男女6人が書類送検された。

ピクセルカンパニーズは2016年2月に民泊事業への参入を発表。特区民泊の認定物件を利用した民泊の運用やリノベーションの提案業務、また民泊運営希望者へのオペレーション業務や清掃メンテナンス業務、運営代行業務などに取り組むとしていた。

《関連記事》民泊支援のピクセルカンパニーズが摘発された2つの理由

 

無許可営業のリスクは非常に高い

従来は「民泊」自体の認知度が低く、あまり問題にはならなかった。しかし、昨今はテレビや雑誌などのマスメディアで民泊関連ニュースが報じられることが多くなり、民泊が広く世間に認知されるようになった。最近ではAirbnbの民泊ホストが摘発される事例もあり、個人・法人を問わず民泊の無許可営業は非常にリスクが高い状態だ。

これから民泊ビジネスへの参入を検討している方は、合法的に民泊を行う方法を検討すべきときに来ていると言える。

 

合法民泊の3つのタイプ

前述の通り、無許可の民泊が多く営業している状態にはあるものの、合法的にできないというわけではない。2外国人旅行者は2020年の東京オリンピックまでは増えることが予想されるため、政府は旅館業法の規制緩和と新しい法制度(民泊新法)※の枠組みつくりを行っている。※2016年の年末以降で施行予定の新法。

簡易宿所(旅館業法)

旅館業法では、簡易宿所を「宿泊する場所を多数人で共用する構造及び設備を主とする施設を設け、宿泊料を受けて、人を宿泊させる営業で、下宿以外のもの」(旅館業法第2条4項)と定義されている。カプセルホテルやゲストハウスなども簡易宿所の営業許可を取って運営されている。

2016年4月には、簡易宿所の許可取得を取得しやすいように旅館業法の運用緩和(旅館業法施行令の一部改正、簡易宿所営業における玄関帳場に関する通知の見直し)を行った。

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特区民泊

特区民泊とは、国家戦略特別区域法に基づく旅館業法の特例制度を活用した民泊のこと。2015年12月に東京都大田区で民泊条例を可決、2016年1月29日の条例施行を経て、現在は20件50室が認定施設として合法的に民泊の営業を行っている(2016年8月現在)。

東京圏の大田区のほかにも関西圏では大阪府、大阪市でも民泊条例を可決。大阪府は2016年4月より受付を開始。大阪市は同条例の附帯決議で条例施行日を2016年10月以降としている。

《関連記事》大阪府 特区民泊(特定認定)の審査基準

特区民泊が2泊に規制緩和へ!

認定要件の一つである「6泊7日以上」という宿泊日数要件が、実態に即しておらず認定施設数が伸び悩んでいるが、政府は「2泊」からの要件に緩和する方向にあることが報道されている。

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民泊新法

民泊新法とは、従来の旅館業法で定める4つの営業形態(ホテル営業、旅館営業、簡易宿所営業、下宿営業)のいづれにも当てはまらない、「民泊サービス」に関して規定する法律のこと。民泊新法では、「民泊」をホストがゲストと一緒に滞在しているかどうかで「家主居住型」と「家主不在型」に類型化し、住宅提供者、民泊施設管理者、仲介事業者に適切な規制体系を構築することとしている。

当初予定では、2017年の通常国会に提出する方針だったが、官邸側が関係省庁に今秋の臨時国会への前倒しの可能性もある。

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