Airbnbは同社サービスを利用する宿泊者(ゲスト)情報を、中国当局へ提供を開始する予定であることがわかった。当局に提供される情報には、パスポートの詳細データのほか予約日が含まれる。
中国で事業展開しているAirbnb Chinaには約14万件の物件が登録されており、中国で民泊事業を展開する同業他社の途家や小猪に次ぐ規模を誇る。AirbnbはBBCに対して今回の措置について「中国で事業展開を行う同業他社と同様の措置」としている。
Airbnbで中国国内で予約する場合、予約直前のページにて国籍、パスポート番号、氏名などを入力する項目が表示され、これらを入力しないと予約できないように変更されている。
中国でAirbnbを利用する場合、臨時宿泊登記が必要
中華人民共和国出境入境管理法によると、中国国内で外国人が宿泊する場合、24時間以内に現地公安局で「臨時宿泊登記」をすることが法律で定めらている。
日本ではなじみがないものであることから「臨時宿泊登記」の存在はほとんど知られていないが、滞在期間やその目的に関わらず、中国国内に滞在するすべての外国人に求められるもので、手続きをしない場合は罰金が科されることがある。
《関連記事》「臨時宿泊登記」は必ず行いましょう! -在中国日本国大使館-
ホテル等(飯店など)に宿泊する際にはフロントでこの登記を自動的に代行するが、宿泊登記を代行しない民泊や知人宅に宿泊した場合は「臨時宿泊登記」が必要だ。
つまり、中国国内でAirbnbを利用した場合、ホテル同様にフロントでこの登記を自動的に代行してくれる可能性は非常に低く、宿泊客は24時間以内に警察署で「臨時宿泊登記」をしなければならない。
中国市場の攻略を重点課題としているAirbnb
民泊市場は中国でも市場が急拡大しているが、約40万件の民泊物件を有する現地民泊仲介サイト最大手の途家と中国での競争が激化している。
2028年までに全世界で年間10億人のゲストを狙うとしているAirbnbにとって、世界最大の人口を誇る中国市場の攻略は重点課題となっている。
Airbnbは、2017年に中国国内におけるブランド名を「Aibiying (爱彼迎)」にリニューアル。さらに、民泊ホストの品質改善に向けた「ホストアカデミー」「メンタープログラム」などの新施策を中国で次々とスタートさせている。
Airbnbの発表によると、2020年までに中国は世界で最もAirbnbゲストが滞在する国となる見通し。2017年の第4四半期だけで中国各地のAirbnbゲストは100万人以上にのぼり、前年同期比ではほぼ3倍に拡大。過去3年間でAirbnbの中国国内事業は100倍に成長したという。
グローバルで最も利用者の多いAirbnbは、中国国内でも覇権を握ることができるのか、今後の動向から目が離せない。
《関連記事》「ホストアカデミー」「メンタープログラム」など新施策を中国で先行開始へ