6月15日に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)により、民泊を取り巻く宿泊業界が大きく動いている。
民泊仲介サイト最大手のAirbnb(エアービーアンドビー)は、民泊新法の施行に合わせて、新法の届出番号や旅館業法の許可番号がない宿泊施設を一斉削除。さらにAirbnbは一斉削除を実施した宿泊施設に入っていた宿泊予約についても観光庁の通知を受けて強制キャンセルを実施した。
届出番号のない民泊の削除については、Airbnbだけではなく同様に民泊の掲載を行っていたBooking.com(ブッキング・ドットコム)でも同様に実施された。
一連の騒動でAirbnbに掲載されていた民泊施設の掲載が大幅に減少した影響で、旅館業法や特区民泊など合法的な許可を取得しAirbnbに掲載を行っていた民泊やゲストハウスなどの宿泊施設へ宿泊予約が殺到している。
大阪市内の特区民泊を運営する宿泊施設の関係者によると、Airbnbによる一連の騒動を受けて閲覧数が通常の4倍近くまで急増し突然予約が埋まるなど大きな影響が出ているという。
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Airbnbの宿泊客は過去最高の600万人を突破
Airbnbは、2017年に世界各国から約600万人の宿泊客が日本を訪れAirbnbのリスティングに宿泊していたを発表。2016年は約370万人だった宿泊客は1年で約1.5倍増えたことになる。
この数値は削除騒動など一連の騒動前のものでAirbnbの掲載数減少に伴い一時的に減少することは考えられるが、これはあくまでも掲載数が減少したことによる宿泊客の減少を意味しておりAirbnbへの宿泊ニーズは引き続き高い状況にある。
さらにAirbnbは一連の騒動を受けて、キャンセル対象となったゲストに対して約11億円(1000万ドル)規模の基金を設立し、予約金額の全額返金に加えて予約金相当額のクーポン、体験に利用できる約11,000円分の体験クーポンを配布。
また同様にホストに対しても約1万1,000円(100ドル)分のクーポンを配布することを明らかにしている。これらのクーポンの現金化はできずAirbnbでの宿泊時に利用できるクーポンとなることから、クーポンを利用した宿泊利用も増えることが確実視されている。
ホテルや旅館が手数料3%で掲載できるAirbnbの魅力
オンライン予約サイトとして知られている米エクスペディアやオランダのブッキング・ドットコムなどのOTAに宿泊施設を掲載する場合、予約ごとに12%~15%の手数料が発生するのが一般的だ。
自社サイトから予約が入った場合このような手数料は発生しないことから、多くのホテルや旅館などでは自社サイトからの直接予約を増やそうとするが、ホテルや旅館を比較しながら予約まで行えるOTAの集客力は依然として強い。
しかしOTAへの支払い手数料を削減する動きは海外で強まっており、マリオット・インターナショナルやヒルトン、インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ等が相次いでOTAへの支払い手数料を削減する方針であることを明らかにしている。
ホテルは収益に直結する手数料の削減を常に考えることになるが大手チェーンホテルとは異なり小規模な宿泊施設ではそのような交渉も難しい。しかし、Airbnbであれば手数料3%で掲載できるに加えて受取金は最短でゲストのチェックイン予定時刻の約24時間後に口座に振り込まれる。
小規模ホテルを中心にAirbnbへの掲載は加速するか
Airbnbではこれまで旅館業法の許可を取得していない施設が多く掲載されていたことから、Airbnbへの掲載を敬遠していたホテルも少なくない。しかし、6月15日以降Airbnbには原則として住宅宿泊事業法や旅館業法などの適法施設しか掲載されていない。
さらに、上述したようにAirbnbでは供給サイトが法律によって大幅にその掲載数を減らしたが、日本のAirbnbに宿泊したいと考える利用者は依然として多い状況だ。
またAirbnbでは小規模ホテルでも掲載できるように宿泊施設の種別(部屋タイプ)に「バケーションホーム」、「ユニークな施設」、「B&B」、「デザイナーズホテル」の4種類を新しく追加している。小規模ホテルがAirbnbに掲載するための環境は整備されつつある。
小規模ホテルがAirbnbに掲載すべき4つの理由
以上をまとめると、小規模ホテルがAirbnbに掲載すべき理由は次の4つとなる。今一度、新しく生まれ変わったAirbnbへの掲載を検討してみてはいかがだろうか?Airbnb ホスト募集