民泊の清掃スタッフにも適切な労働対価をー。Airbnb社はこのほど、民泊施設の清掃スタッフが最低限の生活を維持できるための賃金を支払うことを誓う「リビングウェイジ宣言」を公表した。
「リビングウェイジ」とは、一定の生活水準を保つために必要になる必要となる賃金最低額のこと。同社はこれまで、ホストやゲストなどAirbnbにかかわる人々や地域が利潤供与できるプラットフォーム運営に努めており、この宣言はその流れをくむ新たな取り組みだ。
Airbnb社によると、民泊施設にはホスト自身が清掃をしている物件が多い反面、清掃業者を必要としている物件も多数あるという。「リビングウェイジ宣言」は後者の物件に対し、外部からの清掃スタッフに不当に低い賃金ではなく、一定の生活水準を維持できる賃金の支払いを促すことを目的としており、これに同意、実践するホストのリスティングにはバッジが表示される。宣言に同調するゲストは、バッジの有無を基準にしたホストの選択も可能となる。
全米家庭内労働者連合(NDWA)などによると、清掃作業のリビングウェイジは自営業者で25ドル、派遣業社スタッフは15ドルが適当だとされる。自営と派遣で賃金が異なるのは、税率の差やコスト負担があるため。
NDWAディレクターのAi-jen Poo氏は「清掃作業が軽視されている中にあって、清掃スタッフにウェートを置いたAirbnbには感謝する。清掃スタッフが適切な賃金を得れば、文化的にも経済的にも清掃作業の真の価値が認知されることになるだろう」と話している。
Airbnb、公正な収入を得る機会の拡大を
一方、Airbnb社は「Airbnbは人々がすでに持っている資産、つまり家を活かして収入を生み出すチャンスをつくってきた。リビングウェイジ宣言は、そのチャンスを拡大するものだ」とコメント。
Airbnbリスティングを含む物件で清掃スタッフとして働いているSilvia González さんは「11年以上清掃をしているが、生活費は高くなるのに賃金は低いままだった。時給25ドルになれば、子どもの授業料も払える。ようやく、私の仕事やその価値を認めてくれる人が出てきた」と喜んでいる。