ゲストの宿泊体験をグレードアップし、ロイヤルティを高めるにはモバイル技術が不可欠だと、ホテル経営者の9割が認識しているという結果が、Oracle Hospitality(オラクル・ホスピタリティ)の調べで明らかになった。
モバイル技術の重要性を把握している一方で、実際に活用できると確信している経営者は7割にとどまっており、その運用にいまだ困難が伴っている姿も垣間見える結果となった。
Oracle Hospitalityは独立系ホテルやチェーンホテル向けにプロパティ・マネジメント・システム(PMS)などのサービス提供を行う企業。
同社が実施した「2019 Hospitality Benchmark-Mobile Maturity Analysis(2019年版モバイル成熟度分析)」は、ホスピタリティ業界の経営幹部199人を対象に、組織内でのモバイル技術の使用状況について調査したもの。回答者の77%は取締役以上の役職者で、53%が年間売上高550億円(5億ドル以上)の企業となっている。
調査結果では、回答者の5割は自社のモバイル対応について高い評価を与えている一方で、自社よりもモバイル対応が進んでいる競合ホテルに負ける可能性を懸念している。
また、ホテル経営者の9割は、スマホで客室予約やチェックイン、チェックアウトといった基本的なサービスを管理できるようになれば、ゲスト体験が改善されるだろうと回答。さらに、ゲストがホテルにサービスをリクエストする際の手段にモバイルアプリが好まれていると 91% が答えた。
《関連記事》民泊はスマートロックでのIoT化が鍵に おすすめのスマートロック徹底比較
競合対策として、モバイルサービスの提供が必要不可欠に
ホテルが採用しているモバイル技術のゲスト間の認知度は課題の1つで、調査対象者の23%はゲスト向けのモバイルアプリの普及に苦慮していると答えた。
これに対して、Oracleは、宿泊客にホテルのアプリをダウンロードして利用できる無料特典やルームサービスの割引といったインセンティブに対する重要性を強調する。また、モバイル戦略のないホテルは、顧客のニーズに迅速に対応するために、テキストメッセージなどの他のコミュニケーション手段の提供が不可欠とした。
Oracleは最後に、ホテルがゲストの宿泊体験を向上させるためには、ゲストの望む方法でのコミュニケーション、モバイル技術への投資の継続、セルフサービスの実現化という3つの領域に注力すべきだと結論付けた。
Oracle Hospitalityのシニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーを務めるグレッグ・ウェッブ(Greg Webb)氏は、「昨今の賢明な消費者たちの要求にホテルが応えるには、モバイルサービスの提供が必要不可欠だが、それに着手できていないホテルもある。モバイル体験を提供できないホテルは、簡単に負けてしまうだろう。」と述べた。
《関連資料》Mobile Is Key to Boosting Guest Experiences Say Hoteliers