世界最大手のオンライン旅行サイト「エクスペディア・グループ」は10月25日、Airbnb系の民泊物件管理サービスなどを手掛けるPillowとApartmentJetを買収したことを明らかにした。
すでに両スタートアップの公式ホームページでは、「エクスペディア・グループ」の傘下入りしたことを公表しているが、買収金額など詳細は明らかになっていない。
Pillowは、2014年に創業したAirbnbなどの民泊サービス分野に特化したプロパティ・マネジメントのスタートアップ。Airbnbをはじめとする民泊サービスの急速な普及をサポートしていた企業だ。
Airbnbで自宅を貸し出す場合、宿泊客とのコミュニケーションや部屋の清掃、宿泊価格の調整などの業務を行う必要がある。Pillowは、このような手間のかかる業務を一手に引き受ける民泊代行サービスを提供する。
さらに、Pillowは2017年に民泊仲介サイト大手のAirbnb(エアービーアンドビー)と業務提携。Pillowが提供するダッシュボードから、物件オーナーは物件のどの部屋がAirbnbで貸し出されているか、またAirbnbで貸し出されている部屋の宿泊客を把握できるようにする。
世界ではマンションの一室などで大家に知らせることなくAirbnbで部屋を貸し出し副収入を得るケースが多かったが、AirbnbはPillowと手を組みマンションの不動産管理会社に導入を促し、透明性を高める取り組みを行っている最中だった。
まさにAirbnbの成長を陰で支え、業務提携を行うなどAirbnbと関係の深いスタートアップをAirbnbの競合にあたるエクスペディアが買収した意味は非常に大きい。
エクスペディア、HomeAway経済圏で民泊事業の強化へ
エクスペディアは、2015年にアメリカテキサス州に本社をおくバケーションレンタルサービス「HomeAway」(ホームアウェイ)を約4740億円(約39億ドル)で買収。ホームアウェイは、Airbnbとの競合関係にあたる。
民泊仲介サイトの巨額買収から約3年たったが、エクスペディア・グループの中でもホームアウェイの業績※は好調で、売上高は同35%増の約451億円(4億1000万ドル)、営業利益は同66%増の約230億円(2億900万ドル)になる。(※2018年第3四半期)
ホームアウェイの好調な業績にわかるように民泊市場は世界的に成長しており、エクスペディアはAirbnbでのノウハウを有するスタートアップ2社を買収し、さらなる成長の起爆剤にする考えのようだ。