旅行業大手のエイチ・アイ・エス(HIS)は7月10日に「ユニゾイン」などのブランドでホテルチェーンを展開するユニゾホールディングス(HD)に、株式公開買い付け(TOB)を行うと発表した。HISは、発行済み株式の40%を上限に、最大427億円で買い付ける。
HISはユニゾHDとの相乗効果が期待できるとして、複数回にわたり業務、資本提携を含めた協議をユニゾHDに打診したが、実現できなかったという。HISは、今回のTOBにより資本的関係を強化した上で、改めて協業の可能性に関する協議を進める考え。
7月10日時点でHISは、ユニゾHDの株式を4.79%保有する筆頭株主。今回のTOBでは会社法上の特別決議の拒否権を持てる40%以上となるよう普通株式を追加で取得することを計画。今回のTOBにより45%を保有するに至った場合、それを上回る買付は予定していないという。
HISでは近年、国内ではフロントにロボットなどを配した「変なホテル」ブランドを次々と展開し現在は10軒以上、海外では米領のグアムで「グアムリーフホテル」、台湾でも「グリーンワールド」のブランド名で経営に乗り出しておりホテル事業へ積極的に参入をしている。
今回のTOBが順調に進めば、HISが目標の一つに掲げるホテルの「ホテル100軒構想」に向け、大きく前進することになる。HISでは現在、33軒のホテルを運営し、建設中や業務提携などで交渉中のホテルが34軒にさらにユニゾHD分のホテル25軒を加えると、計92軒だ。
さらに、ユニゾHDの強みである不動産情報ネットワークを活用し、不動産事業の拡大させることで「ビヨンド100軒」に向けた体制を早期に確立させる考え。HISによると、両社の協業メリットは多く最適なパートナーとなり得るとしている。
一方で、ユニゾHDは10日夜、HISが実施するとしたユニゾへの株式公開買い付け(TOB)について、「当社に対して何らの連絡もなく一方的かつ突然に行われたもの」と反発するコメントを発表。
公開買付届出書等の内容を精査した上で「速やかに当社の見解を公表する」としており、ユニゾHDの株主に対しては「当社から開示される情報に十分ご留意いただき、慎重に行動していただきますようお願い申し上げます」と求めた。
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