観光地で起こりがちな交通渋滞を緩和する目的で、マイカーで乗り込む観光客を対象に料金を徴収する、いわゆる「観光マイカー課金」制度が神奈川県鎌倉市や京都府京都市で導入される可能性があることをFNNが報じた。
国土交通省が取り組んでいる観光渋滞対策「観光交通イノベーション地域」の実験実施地域に鎌倉市と京都市の2エリアが選ばれた。導入が決まれば、国内で初の「観光マイカー課金」エリアとなる。
年間2,100万人以上の観光客、交通量は過去10年で1.4倍に
鎌倉大仏や長谷寺、建長寺など数々の名所を有する鎌倉は、都心からのアクセスも良いことから、年間2,100万人以上が訪れる人気の観光地。トリップアドバイザー発表の「外国人に人気の観光スポット2017」でも長谷寺が16位に入るなど、年々増加する訪日外国人からの人気も高い。
その反面、同市中心エリアの交通量は過去10年で1.4倍に増加。観光客数の伸びに伴い交通量も増えたことで、市民の生活にも影響が出ているという。そこで、同市では数年前から検討委員会などを設置し、地域への侵入車両に曜日や時間帯を限って課金するロードプライシング制度の導入について検討してきた。
鎌倉市同様、訪日外国人に人気の高い京都市でも、観光客増加に伴う交通渋滞や満員のバスなど、インフラ混雑は深刻な問題となっており、課金制度の導入についても長く検討されていた。ロードプライシングは実施に至っていないものの、総合交通戦略「歩くまち・京都」と銘打って、パークアンドライドの推進、観光最盛期の一部道路の車両規制、一部市営観光駐車場のマイカー駐車不可などの対策を実施し、交通量の規制に努めている。
休日の渋滞時間に限り、1台1000円の課金か
こうした地域での交通渋滞などを緩和し、国内観光地の魅力を高める取り組みの一環として、国土交通省は人工知能や情報通信技術を活用した交通需要の制御や課金制度などを試みる「交通観光イノベーション地域」の実験・実装地を8月に募集。9月7日にエリア観光渋滞対策の実験実施地域として鎌倉市と京都市が選ばれ今秋から段階的、継続的に実験と実装に取りかかる。
鎌倉市は中心地へマイカーで訪れる観光客を対象に、休日の渋滞時間帯に限って1台につき約1,000円を課金することを検討中。制度の導入については地元住人や観光客からは賛否両論が出ているが、導入が実現すれば旅行者にとって「満足度が高い観光が実現」されるだけでなく、住民にとってもメリットになるのではないかと、同市では期待しているという。