ブッキングホールディングス傘下のメタサーチサイトのカヤック(KAYAK)は、新型コロナウイルスのパンデミック発生から今日に至るまでの旅行者の検索傾向を示すフライト検索トレンドデータ(www.kayak.com/flight-trends)の無償提供を開始したことを発表した。
フライト検索データは、毎日リアルタイムに更新されており前年同曜比、前年同週比などでのフライト検索動向を確認することができる。世界の主要国におけるフライト検索トレンドだけではなく、日本のフライト検索トレンドにも対応しており、航空業界の回復状況をリアルタイムに把握できるのが特徴。
KAYAKの最高経営責任者スティーブ・ハフナー氏は、「旅行業界に情報を提供して安心感を与えるために検索データを公開しました。我々の業界は回復への長い道のりを歩んでいますが、旅行への関心が高まり始めているという前向きな傾向には勇気付けられる」と述べた。
KAYAKのダッシュボードには、世界的な航空関連の検索トレンド(前年の同日と比較して新型コロナウイルスが世界の検索にどのような影響を与えたのか)、国内と海外の検索トレンド、目的地別の検索トレンド(前週と前年に比べて検索数が最大に増加した都市)などの情報が提供されている。少なくとも年末まで情報は毎日更新予定。
KAYAKの検索データは下記のことを明らかにしている。
- アメリカ、フランス、イギリス、ドイツのフライト検索は 4 月 6 ~ 8 日 の間が最低となったが、5 月に入り上昇傾向にある。一方で中南米ではフライト検索は減少傾向が続いている。
- 米国ではロンドン、東京、パリなどの国際都市が、アンカレジ、マイアミ、サンファンの検索語に置き換わっている。またヨーロッパではミラノ、ベネチア、ニース、イビサなどの都市が大きく落ち込み、ポルトガルとギリシャの街の検索に置き換わっている。
- 米国、ヨーロッパ、アジア太平洋地域の国内旅行の検索は、国際旅行の検索よりも早い速度で増加している。オーストラリア、スペイン、アメリカ、フランスは国内へのシフトが最も進んでいる。
- 旅行制限を緩和した都市が急速に勢いを増している。アメリカではラスベガスのカジノ再開に伴い、検索数が急上昇した。ヨーロッパではイタリア、フランス、ポルトガルが該当する。またアジア太平洋地域では韓国、台湾、オーストラリア、日本での検索は、一部の主要都市では 2019 年水準に戻っている。
- ヨーロッパへの米国からの検索は対前年比 65% 減少しており、この夏はヨーロッパではアメリカ人観光客を殆ど見かけないかもしれない。
新型コロナウイルス問題は感染第二波の懸念が現実化しているが、各国では移動制限の解除が始まっており、旅行需要も回復が期待されている。海外旅行の回復はまだ時間がかかる見通しであるが、KAYAK提供のデータからは、今後の旅行市場の動向を把握する上で有益な情報を得ることができそうだ。